文化講座
「新考える葦・New‐Thinking Reed」となろう-38 デジタル民主主義&公益社会―12
我が国のデジタル庁がこの9月に発足しました。
2001年にIT基本法が施行され「e-Japan戦略」が決定されてからの20年来の懸案がやっとのことで何とかスタートしました。
'20年6月には政府によって新型コロナ対策の接触確認アプリCOCOA(ココア)が導入されましたが接触者でない人たちに通知が行くなどの不具合が相次いで、保健所員などの関係者までスマートフォンから消してしまったのです。
発足したデジタル庁では担当大臣や高官たちの不公正を疑わせる言行があり、次官級の人事でも混乱しました。
2013年の「世界最先端IT国家創造宣言」をして'20年までに世界最高水準のIT利活用社会を目指すとしていました。
しかし、国連の世界電子政府ランキング(2020年)では14位でした。
未だにマイナンバーカードを持っている人は40%になっていません。
我が国のインフラの整備では離島も含めた光ファイバーの世帯カバー率は99%に及んでいます。
また、モバイルブロードバンドの普及率はOECD諸国で日本は首位です。
しかし、行政のデジタル化はお粗末で、行政手続きでオンライン完結できるのは9.6%に過ぎないという。
デジタル化によって省庁間の壁を除き、効率や統一性を高められるはずなのですが!?
政府、議会も民間や国民から意見を台湾のデジタルシステムのように積極的に取り入れようとはしていません。
国民との交流が悪いために省庁や政府、議会の秘密性とあいまいさがあり、日本の社会を不明瞭で閉鎖的で透明性のない危険な体質にしています。
衆議院選挙でも政治のジェンダー平等が156か国中で日本が147位であり改善されそうにありません。
Z世代の18~20歳が投票権を持つようになり、デジタルネイティブ世代との共生、協働が迫られています。
たった一人で始めた主張と行動が今や世界的な活動になったグレタ・トゥンベリを代表とするような若者が求めるジェネレーション・レフト(左派的主張に共感)を理解して、気候危機のみならず、脱プラスティック、ジェンダーギャップ、働き方や外国人労働者などでの国際的な対応が迫られるようになっています。
我が国でも「お金じゃない 心の豊かさ」を求めて社会システムを根本から変えようとする若者たちが国際的な各種の「ビジョンハッカー」として活躍しており、注目されています。
デジタルを介して、そうした人たちの声を積極的に聴いて対応する必要があります。
そうしなければデジタル敗戦国となりかねません。
戦争はキレイゴトではありません。
デジタル社会、デジタル民主主義と倫理、公衆社会についてすべての人たちが考えなければならない時代なのです。
我が国の選挙ではデジタルシステムの透明性を高め、すべての人たちからの意見を聞いて取り入れようとの姿勢や主張をする政党や議員は見られません。
加えて、透明性です。
今回の選挙で一番重要な二題だったと思いますが見過ごされています。
国家のデジタルシステムは透明性がなければ監視専制国家になりかねません。
一人ひとりが監視される国家となる危険があるのです。