文化講座
「新考える葦・New‐Thinking Reed」となろう-31 デジタル民主主義&公益社会―5
今回は、今日のグローバルな世界状況と「デジタル民主主義&公益社会」について考えてみたいと思います。
民主主義、人権と公益社会は一人ひとりの「価値観による選択の自由」が公益に反しない限り認められる社会です。
その実践には台湾のオードリー・タンが極めて大切な条件を指摘しています。
まず、国家はブラックボックスを持たないように全てが「透明性」と「情報公開」をしていなければなりません。
オードリー的には「権力を集中させないアナーキズム」が大切だとアナーキズムについて通俗的な理解を改める必要があります。
加えて、「すべての人たちが情報にアクセス出来る」ようになっていることです。
つまり、すべてが「透明性」ある「情報公開」がされて、「アクセス可能」であり、「事実確認」が可能な「国家・組織」でなければならないのです。
現在、日本の国会で審議されている「デジタル改革関連法案」では国民の知る権利と政府の説明責任、情報公開が不明確だとあります(三宅弘、中日新聞、4月5日)。
現在の国際状況は欧米を中心とする「民主主義」国家と中国、ロシアなどの「専制主義」国家との対立が明確となって来ました。
「専制主義」国家は「デジタル権威主義」によって、AIや生体認証技術で国民を監視する国家となります。
「民主主義」国家では「人権」「安全保障」と「経済安全保障」を基本としたグループ化と連合が起こっています。
我が国は日米安全保障条約によって民主主義国家連合に属しています。
しかし、主要7か国(G7)メンバーで、日本だけは中国の強権的な少数民族の弾圧に対して制裁に加わっていません。
日米安保によって米国は尖閣諸島が防衛地域となることを保障しています。
今回の菅首相の訪米で、中国が膨張する中華思想国家にとって譲れない台湾、台湾海峡は、米国にとっても有事防衛ラインとして日本も認めて協力を迫まってくると思います。
「経済安保」では、日本と中国との経済的協力や貿易が今まで通りとはいかなくなるでしょう。
ITや先端技術を中心に民主主義国家は専制主義の中国などとの関係は見直さなければならなくなるのです。
以上のことから、日本は「民主主義国家」として自由と人権保障のある国家グループの道を選ぶならば「経済安保&安全保障」連合が迫られるのです。
我が国がどちらとも良好な国家・組織として釈迦の説く「中道」の道を築き上げるだけの外交力があるか問われています。
台湾は最もITのハイテク技術の進んだ"国"ですから「民主主義」国家と「専制主義」国家のどちらにとっても譲ることの出来ない生命線の争いとなっています。
台湾はデジタル民主主義の次世代国家が如何にあるべきかの国際的リーダーです。
IT技術が持つ人類への影響は、お金儲けのための効率化ばかりではないのです。
現在の欧米を中心とする民主主義国家は資本主義社会です。
しかし、今日のような貧富の差、人種差別などの人権問題を解決する必要があります。
「デジタル民主主義&公益社会」が重要な意味を持っているのです。
生存していたら日本の最初のノーベル経済学賞受賞の可能性が高かった宇沢弘文の「社会的共通資本」が我が国の求めるべきグローバル化する「中道」の道となると私は思っています。