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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

第 34回 「青春18きっぷ」でどこまで行ける?

いよいよ夏の「青春18きっぷ」シーズン到来。JR全線の快速・普通列車に乗り放題で1日2,300円相当という夢のようなきっぷです。使用方法の詳細については、「第3回」の記事をご覧いただくとして、今回は、このきっぷを最大限に活用するとどうなるのか、考えてみましょう。

日付印が押された瞬間、日本中どこへでも行ける
魔法のような青春18きっぷ

(1)西へ
名古屋を始発電車で出ると、快速・普通列車だけを乗り継いでどこまで行けるでしょうか。現行の時刻表(09年7月号)を開いて検討してみると...。

名古屋5:49→(普通・美濃赤坂)→6:26大垣6:28→(普通・大阪)→7:04米原7:32→(新快速・播州赤穂)→10:27相生10:29→(普通・三原)→13:09糸崎13:23→(普通・広島)→13:54白市13:58→(普通・新山口)→17:34新山口17:35→(普通・下関)→18:41下関18:57→(普通・小倉)→19:11小倉19:17→(快速・荒尾)→21:16大牟田22:02→(普通・八代)→23:29八代

となり、実に10本の列車を乗り継ぎ、963.0km・17時間40分をかけて熊本県の八代駅まで到達できました。名古屋~八代間の通常普通運賃は12,280円のところを2,300円相当ですから、約82%引! もっとも1日中電車に乗りっぱなしという特典がもれなくついてきますが...。この乗り継ぎプランを見ると、朝の米原で小休止があるのと、疲労困憊となった大牟田で少し間が空く以外はタイトな乗り継ぎばかりで、強い忍耐力が必要になるかもしれません。

車窓に広がる瀬戸内海は、一服の清涼剤

本州の最西端・下関からさらに乗り継ぐ

ゴールの八代に着くことにはもうへとへと...

(2)東へ
同様に、関東・東北方面をめざしてみるとどうなるでしょうか。

名古屋5:47→(普通・豊橋)→7:07豊橋7:09→(普通・静岡)→8:56静岡9:04→(普通・熱海)→10:21熱海10:37→(普通・東京)→11:50戸塚11:53→(湘南新宿ライン・普通・小金井)→14:09小金井14:13→(普通・宇都宮)→14:34宇都宮14:39→(普通・黒磯)→15:29黒磯15:34→(普通・福島)→17:30福島17:35→(普通・仙台)→18:57仙台20:00→(普通・一ノ関)→21:32一ノ関22:16→(普通・北上)→22:56北上

となりました。西行きと比べて若干距離が伸びませんが、それでも853.5km。実に17時間09分をかけ、岩手県・北上駅に到着します。こちらの乗り継ぎでも、夕方の仙台まではほとんど乗りっぱなしですが、1時間ほど夕食休憩が取れるのはうれしいですね。とはいえ、こちらも強い気持ちで臨まないと挫折してしまいそうです。通常運賃は11,030円ですから、こちらも約79%引です。

以前、私自身、未明0時すぎに横浜から夜行快速に乗り、約23時間をかけて八代まで乗り継いだことがありますが、日が沈んで車窓の風景が見えなくなると、「一体、自分は何をしているんだろう」と自問自答しながらの旅にもなりました。それでも、ゴールの八代駅に到着し、「やつしろ」と書かれた駅名標を見て、「遠くまで来てしまったものだ」と実感したことを思い出します。
このように各駅停車で旅をすると、そのスピードのゆったりさも手伝って、この日本という国が狭いようで案外広いのだということを、文字通り体感することができますし、風景の変化や、地域色豊かな方言など、それぞれの地域の特色を味わうこともできます。

もっとも、こんな極端な使い方をする必要などどこにもないわけで、どんどん先へ、先へと急ぎ乗り継いでいくだけでは疲れてしまいますから、乗換駅ごとに町を散策したり、喫茶店で一息ついたりしながらマイペースで旅をしていれば、より楽しくなることでしょう。

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