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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

たまには豪華な鉄道の旅を

鉄道は、単なる移動手段であるにとどまらず、旅の舞台としても味わいのあるものです。とりわけ、「豪華列車の旅」というのは、憧れる方も多いことでしょう。ここでは、北海道をめざす寝台特急「トワイライトエクスプレス」の旅をご紹介しましょう。

大阪駅に入線する「トワイライトエクスプレス」

寝台特急「トワイライトエクスプレス」は、大阪・札幌間約1,500kmを約21〜22時間かけて走る、日本最長距離の列車です。濃い緑色の車体が高級感を醸し出しています。
9両の客車は、多彩なタイプの寝台となっていて、最高級の2人用A個室「スイート」・1人用A個室「ロイヤル」、2人用B個室「ツイン」、1人用B個室「シングルツイン」、開放型の2段B寝台など、予算や旅の目的にあわせて選ぶことができます。このうち、A個室はプラチナチケットといってもよく、「スイート」は2室、「ロイヤル」は8室しかないため、発売と同時に売り切れてしまい、そのことも「トワイライト」を「夢の寝台列車」と言わせる所以となっています。
A個室では、個室内にシャワー・トイレ・AV設備などが付属しているのをはじめ、広い占有スペースで快適な旅が楽しめます。また、ウェルカムドリンクやモーニングコーヒー、食堂車からのルームサービス、朝刊・アメニティグッズのサービスなど、ソフト面も充実して、まさに「走る高級ホテル」ともいえる雰囲気です。

「トワイライトエクスプレス」のA個室「ロイヤル」

もっとも、リーズナブルなB個室・B寝台でも、列車自体が別世界の雰囲気を漂わせていますので、普段と異なった旅を楽しめることでしょう。

「トワイライト」の目玉が、レストランカー「ダイナープレヤデス」です。予約制の夕食はフランス料理のフルコースで、価格は12,000円。前菜から始まり、メインの肉・魚料理、スープ、サラダ、デザートに至るまで、街の高級レストランと同等の味・サービスが、薄暮の車窓を眺めながら楽しめます。現在、食堂車は「トワイライト」のほか、「北斗星」「カシオペア」にしか連結されておらず、景色を眺めながら食事をすること自体がもはや貴重な体験です。夕食以外のランチタイム(下りのみ)・パブタイム(夕食終了後)・モーニングタイム(車内で予約)は、乗車前の予約なしでも利用できますので、12,000円出すのはちょっと...という方でも気軽に体験できることでしょう。

トワイライトエクスプレスのレストランカー「ダイナープレヤデス」

トワイライトエクスプレスに乗ったらぜひ味わいたいディナー

レストランカーの隣にはサロンカー「サロン・デュ・ノール」が連結されており、大きな窓から眺める景色を堪能しながら、快適な旅が楽しめます。丸1日近くかかりますから、こうして車内のいろいろなところに居場所があるというのは、助かりますし、楽しいですね。
下り列車の場合、大阪駅を12:03に発車します。真昼間から寝台列車に乗ってゆったりした時間を過ごせるというのは、ある意味、最高の贅沢なのかもしれません。飛行機に乗れば2時間そこそこで北海道に着陸するわけですが、そこを丸1日近くかけて行くわけですから、乗っている人々は決して急がず、乗ること自体を楽しもうと思っている人ばかりです。サロンカーや食堂車などでたまたま出会った人々と、旅談義に花を咲かせたり、穴場の情報を教え合ったりするのも、こうした列車ならではの光景でしょう。乗る前には「21時間も乗るのか...」と思っていた人たちも、実際に乗ってみるとあっという間に終着に着いてしまう感があります。ちょうど日本海沿いで薄暮(「トワイライト」)の時間帯を迎えますので、車窓から沈む夕陽を眺められる幸運に恵まれるかもしれません。

焦らず、急がず、のんびり旅してみませんか

とかくスピードが身上とされる現代。あえて時流に逆行するような列車に乗って、普段とは違う時の流れを体感するのも、いいかもしれません。
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