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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

乗って楽しい「おもしろ列車」の旅(1)

鉄道の旅は、「列車に乗ること」それ自体が旅の要素を多分に含んでいます。全国には、乗って楽しい「おもしろ列車」が各地で運転されています。今回からは、そんな列車に乗る旅をご紹介してみたいと思います。

●JR五能線「リゾートしらかみ」
秋田県の東能代と青森県の川部を結ぶJR五能線は、日本海の海岸線に沿って走る風光明媚なローカル線です。近年では、世界自然遺産に登録された白神山地の麓を走る鉄道としても知られるようになりました。沿線各地に見どころがいっぱいの、魅力あふれる路線です。

過疎地域を走るローカル線ということで、列車の本数が少なく、プランニングには骨を折る路線でもありました。しかし、近年、五能線の旅が静かなブームを呼んでいることもあり、臨時の快速列車「リゾートしらかみ」が運転されています(秋田~東能代~川部~弘前・青森間)。

JR五能線の快速「リゾートしらかみ」

季節によって運転本数や運転日が異なりますが、春から秋はほぼ毎日、冬季は週末を中心に、年間を通して運転されており、定期の普通列車と組み合わせて途中下車を楽しみながら、五能線の旅をゆっくりと楽しむことができます。たとえば、ウェスパ椿山で途中下車すると、海辺の露天風呂で豪快な入浴を楽しめる黄金崎不老不死温泉を訪れることができますし、十二湖で下車すれば、白神山地のぶなの森に抱かれた「青池」をはじめとする湖沼群を散策することができます。 鯵ヶ沢では新鮮な海の幸も楽しみです。

そして、この列車のもう一つの特徴は、単に乗って沿線の景色を楽しむだけではなく、車内でもイベントが行われることです。1・4号では、鯵ヶ沢~五所川原間で津軽三味線の生演奏が先頭車の展望ラウンジで繰り広げられます。演奏は生放送で車内にも流されますが、やはり先頭車へ出向いて生の息遣いや弦さばきを目の当たりにしたいところです。また、1号では、津軽弁の語り部による民話の実演が、陸奥森田~川部間で行われます。

「リゾートしらかみ」車内で行われる津軽三味線の生演奏

沿線の絶景ポイント(岩館~大間越間、千畳敷付近など)では速度を落として運転される区間もあり、車内に居ながらにして、沿線の風景と文化を同時に体験できる文字通りの「クルージングトレイン」です。

列車は全車指定席となっていますが、快速列車ですので、乗車券や「青春18きっぷ」のほかに指定席券(310円または510円)を用意するだけで乗れます。詳細は、JR東日本秋田支社の公式サイト(http://www.jreast.co.jp/akita/shirakami/)をごらんください。

●津軽鉄道「ストーブ列車」
JR五能線の五所川原から発車しているのが津軽鉄道。津軽平野をのんびりと走るローカル私鉄です。この津軽鉄道の冬の名物が「ストーブ列車」。暖房設備のない旧型の客車をディーゼル機関車が引っ張るものですが、何しろ地吹雪の中をゆくわけですから、客車内には昔懐かしいダルマストーブが設けられ、車掌さんが石炭をくべています。外は極寒ですが、車内は暖かく、ストーブの周りは暑いほどです。

津軽鉄道の「ストーブ列車」

ご丁寧にもストーブの上には網が置いてあり、餅やスルメなどを焼くのも自由。炙ったスルメをかじりながらワンカップの日本酒をごくりといけば、身も心も温まります。

津軽五所川原から終着の津軽中里まで片道45~50分ほどで、1日に2往復運転されています。途中の金木で下車すれば、太宰治の生家、斜陽館を訪れることもできましょう。そして、難解な津軽弁に耳を傾ければ、旅情がじわっと湧いてきます。

運転時刻などの詳細は、津軽鉄道公式サイト(http://tsutetsu.web.infoseek.co.jp/)でご確認ください。

ストーブ列車では車掌さんが石炭をくべる
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