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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

第35回 日本「横断」の旅

いよいよ夏本番。
子どものころの夏休みといえば、「冒険」をしたくなる時期ではなかったでしょうか。秘密基地の中で遊んだり、これまでできなかったことに挑んでみたり・・・。大人になっても、その心は忘れないようにしたいもの。
せっかくの夏の旅。ちょっとだけ「挑戦」してみるような要素を入れてみてはいかがでしょう。その最たるものが「日本縦断」や「日本一周」の旅でしょうが、体力的にも、金銭的にも、日程的にも、そう簡単に挑戦できるものではありません。
そこで、今回ご提案したいのが「日本横断」の旅です。

日本は狭い国といわれますが、北日本と南日本では気候も文化も大きく異なります。その変化は、太平洋側と日本海側でも随分大きいもの。それを、旅の中で体感しようというのが「日本横断」です。
実は、太平洋側である愛知県から日本海をめざすと、思いのほか近いのです。東海道線で米原に行き、北陸線に乗り換えて敦賀へ行けば、そこはもう日本海。特急「しらさぎ」なら1時間半ほど。快速・普通列車を乗り継いでも2時間あまりで到着します。敦賀駅からバスで15分ほど行くと、気比の松原で日本海の水に触れることができるでしょう。途中、長浜あたりで一旦降りて、琵琶湖に立ち寄るのも面白いですね。いずれにしても、日帰りで充分「横断」を達成できます。伊勢湾から若狭湾に至るところは、本州が最もくびれているところなのですね。

敦賀の「気比の松原」

もう少し旅の要素を濃くするなら、日本列島がぽっちゃりしているところを結ぶルートもいいでしょう。紀伊半島最南端の潮岬から、能登半島最北端の禄剛埼まで旅をすれば、かなり本格的な旅程になります。
たとえば、各駅停車での旅を想定すると、こんな旅程が思い浮かびます。

【0日目】名古屋-紀伊勝浦-串本(前泊)
【1日目】串本=潮岬
(スタート)潮岬=串本-新宮-多気-鳥羽(泊)
【2日目】鳥羽-名古屋-岐阜-高山(泊)
【3日目】高山-富山-津幡-七尾-和倉温泉(泊)
【4日目】和倉温泉...穴水=宇出津=珠洲=禄剛埼(ゴール)
禄剛埼=珠洲=宇出津=穴水-和倉温泉-金沢-名古屋


本州最南端の串本駅から乗り継ぎの旅が始まる

高山本線の普通列車で中部地方を横断

能登半島最北端の禄剛埼をめざして

往復は特急利用を前提にしていますが、前泊を入れると合計4泊5日の旅になります。「海」と「山」の両方の旅情を味わえるコースですので、いかにも「横断」している印象が強くなりそうです。どうしても移動距離が長くなってしまいますが、この旅は「横断すること」自体がその目的ですから、車窓に流れる風景の変化を味わいたいものです。

このほかにも、愛知県を起点として、信州を経由して新潟県方面へ抜けるようなコースも面白そうです。時刻表巻頭の路線図を眺めながら「ああでもない」「こうでもない」「ここを通ろう」「ここで泊まろう」なんて考えながら、プランニング段階から楽しんでみてはいかがでしょうか。

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