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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

プランニングを楽しもう

旅には3つの楽しみがあるといいます。

○時刻表やガイドブックとにらめっこしながらプランニングする楽しみ
○実際に現地を訪れ、自分の足で町や観光地を歩く楽しみ
○旅から帰って、思い出を整理しながら振り返る楽しみ

このように、旅は、出発する前、プランを練るところ、つまり「旅をつくる」ところから始まります。もっとも、最近は、パッケージツアーの普及で、プランニングの楽しみがなくなってしまい、「つくられた旅」を選ぶのが主流になっていますが、やはり手づくりの旅は感慨もひとしおでしょう。私など、旅の楽しみの半分以上はこのプランニングにあるのではないか、と考えています。まだ見ぬ土地を想像しながら、どこへ行こうか、何を食べようか、どんな景色を眺めようかと考えながら、時刻表や地図、ガイドブックをめくるのは至福のとき。旅は「わがまま」を存分に出せる瞬間、自分自身が「自分らしく」なれる瞬間だからです。とりわけ、鉄道を利用して旅をするのであれば、特にプランニングが重要だといえます。クルマで出かけるのとは違い、列車の時刻は決められていますし、予算に応じて、新幹線で行くのか、鈍行を乗り継いでいくのかの選択もしなくてはなりません。鉄道の旅だと、駅で降りて初めて町歩きが始まりますから、観光地や宿が駅からどれくらい離れているかという点も考慮する必要があります。場合によっては、路線バスや船などに乗り換える必要もあるでしょう。
クルマの旅に比べれば、一見、面倒くさいようにも思えますが、これらの制約をクリアしながら1つのプランをつくり上げるという過程は、ゲームのようでもあり、推理小説のアリバイ崩しのようでもあり、また芸術作品の制作のようでもある、というのは言い過ぎでしょうか。

さて、実際にプランニングを行うといっても、きっちりとしたプランがいきなり作れるわけではありません。これは初心者だけでなく、旅行業界のプロの方々や、鉄道ファンと呼ばれる人々でも無理な話。慌てずに、順を追って、プランを完成させていきましょう。

1)料理と同じでまずは「材料集め」から

まずは「旅の材料」を集めることから始めます。「材料」・・・それは、「○○がしたい」「○○が食べたい」などという、あなたの「わがまま」です。これが、旅のテーマになります。
そして、それを実現するには、どこへ、いつ、どのように行けばいいのか・・・という形で、目的地を検討していきます。

2)大まかなプランを立てる

どんなルートで旅するか、どこで泊まるかなど、およその行程を組んでみます。この時点では、まだ詳細の列車時刻を参照するのではなく、地図や路線図などを見ながら、略図に描いて検討するといいでしょう。グループで旅をするなら、この過程を仲間と喫茶店や居酒屋あたりで談論すると盛り上がりそうです。

3)詳細のプランを組む

大まかなプランが組めたら、実際に時刻表を引きながら、細かい旅程を組みます。
列車の本数が少なかったり、接続がうまくいかなかったりして、意外と時間がかかるのなら、最初に立てた大まかなプランを修正して、宿泊地をずらしたり、訪れるポイントを絞ったりしていきます。グループで旅する場合、この作業は幹事が引き受けることになるでしょう。そして、宿を決めれば、旅のプランは完成です。
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