愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

第43回 駅弁を味わう

旅の楽しみといえばやはり味覚。鉄道の旅でぜひ楽しみたい味覚といえば、やはり駅弁ですね。コンビニの普及により、一昔前に比べると駅弁を扱う駅も少なくなりましたが、車窓を眺めながら、駅弁の包み紙を開けるときのわくわくする気持ちは、やはり鉄道の旅の醍醐味です。今回は、ぜひ味わってみたい駅弁をいくつかご紹介しましょう。

(1)越前かにめし ― 北陸本線・福井駅
デパートなどでの「駅弁大会」でも全国的に人気な駅弁ですが、やはり現地で買い求めたいもの。発売されて40年以上が経つ伝統の駅弁でもあります。
かにの形をした赤い容器に入った、かにを炊き込んだご飯の上に、これでもかというほどのかに身が乗っているだけという「シンプル・イズ・ベスト」ともいえる弁当です。箸ではなく、付属しているスプーンでいただきます。きざみのりが付いていて、これをかけることでいいアクセントになります。余分なおかずは一切なし、かにだけで直球勝負。さすがはかにの本場、越前ならではの駅弁です。福井駅のほか、武生駅・芦原温泉駅や、特急列車の車内販売でも入手できます。お値段は1,100円。
食べ終わった後の容器はぜひ家に持ち帰りましょう。小物入れなどに活用できますよ。

福井駅の越前かにめし

(2)高原野菜とカツの弁当 ― 中央東線・小淵沢駅
次は中央東線の小淵沢駅を代表する駅弁。こちらも発売から40年以上を経過し、なお人気が高い逸品です。
「天にいちばん近い鉄道」との異名をとるJR小海線への乗換駅である小淵沢らしく、八ヶ岳山ろくで栽培された高原野菜がふんだんに使われた弁当です。レタス、ミニトマト、セロリ、カリフラワーなど新鮮な野菜とともに並ぶヘルシーなチキンカツもボリューム充分で、この1個の弁当でお腹もいっぱいになります。
食品衛生上、生野菜が駅弁に入るというのはあまり例がなく、とかく栄養が偏り易い旅行中には嬉しい中身にもなっています。値段も850円とお手ごろ。
駅弁を買って八ヶ岳を眺めながら車内で食べるもよし、小海線に乗り、小さな駅で途中下車をして、高原のおいしい空気を調味料にして食べるもよし。「どこで食べようかな」と迷ってしまう魅力が、この地にはあります。
なお、小淵沢駅では、昔懐かしい土瓶入りのお茶も販売しています。駅弁のおともに、ぜひどうぞ。

高原野菜とカツの弁当

(3)上州の朝がゆ ― 高崎線・高崎駅
もう1つ、ちょっと変わり種の駅弁をご紹介しましょう。上州は高崎で「朝だけ」売っているという幻の駅弁がこれ、「上州の朝がゆ」です。ほんのり温かいおかゆに、栗と海老が乗り、漬物と練り梅がつくシンプルなもので、二日酔いの朝や、夏バテで食欲がないとき、また旅先で肉や魚ばかり食べ歩いている身にはうれしい弁当です。都内へ新幹線通勤するサラリーマンやOLさんに人気があるといい、毎日買い求めている人もいるとか。
毎朝6時半ごろから発売され、毎朝100食のみの限定。9時ごろには売り切れることも多いようです。私も、早朝に高崎を通りかかったときには必ずといっていいほど入手するほど、気に入っています。

上州の朝がゆ

駅弁は、書店で販売している「時刻表」の駅名らんに「弁」のマークがついている駅で販売していますが、時間帯や曜日・季節によって販売の有無や商品、個数などが大きく変わることも多く、「行ってみないとわからない」のが現実です。もちろん、その「わからなさ」が旅の楽しみでもあるわけですが、どうしても食べてみたい駅弁を入手したい場合は、調製元(最近ではHPを開設しているところも多い)に電話で予約を入れるなどの手もあります。
また、駅弁は、「一般的な幕の内弁当」と「その地域の産物などを主とした特色ある弁当」に大きく分類されます。このうち「一般的な幕の内弁当」は、多くの場合、抽象的な名前がついていることが多く、「名前に惹かれて買ったが、開けてみたら普通の幕の内だった」ということもしばしば。ぜひ、買うときにはサンプルや写真などを参考にじっくり選びたいものですね。

知って得する鉄道旅行術
このページの一番上へ