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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

第28回 飯田線各駅停車の旅(5)

前回まで、飯田線の旅を4回にわたってご紹介してきましたが、今回は、飯田線の旅をより楽しく、また格安に楽しむコツをご紹介します。

●旅のプランの練り方
飯田線はとにかく長く、時間がかかります。全長約200km、駅の数が94駅、全線乗り通すと6時間ですから、乗っているだけで1日かかってしまいます。しかし、よほどの鉄道好きならともかく、普通の人は飽きてしまうに違いありません。「イッキ飲み」ならぬ「イッキ乗り」をした挙句、「飯田線は疲れるからもう行かない」なんて思ってしまうのは残念です。ぜひ、途中下車をしながらの旅をされることを強くおすすめします。
とはいえ、通勤路線ならともかく、過疎ローカル線ではそう本数も多くなく、2時間以上列車の間隔が空くこともしばしば。そんなに気軽に途中下車なんて出来ない、と諦めてしまうのも無理ありません。
ですから、時刻表や地図でのプランニングは不可欠です。次の列車までの間、有効に時間を過ごせるところを見つけましょう。具体的には、湯谷温泉・中部天竜(佐久間レールパーク)・大嵐(旧富山村)・小和田(屈指の秘境駅)・平岡(龍泉閣)・天竜峡(天竜ライン下り)などはおすすめできるでしょう。また、うまく上下列車を組み合わせて、行きつ戻りつのプランを組めば、同じ時間的余裕で倍の駅に降り立つこともできます。
全線をじっくり旅するのであれば、途中での宿泊は必須となりましょう。飯田線沿線で宿泊施設が充実しているのは、湯谷温泉・天竜峡・飯田・駒ヶ根・伊那市ぐらいです。このほか、平岡駅構内の龍泉閣は、駅舎がそのまま村営の観光施設になっており、宿泊も可能で、飯田線の旅にはもってこいの宿です。また、旧富山村にも民宿がありますし、中部天竜・水窪・温田・門島・飯島などにも小規模ながら宿があります。
名古屋地区から飯田線を旅する場合、全線乗り通すなら、帰りは中央西線経由が一般的でしょう。特急「しなの」なら塩尻から名古屋まで2時間足らず。普通・快速列車を中津川で乗り継いでも3時間半ほどです。全線にこだわらなければ、飯田から中央道高速バスで帰名するという手もあります。飯田駅前から名鉄バスセンターまで約2時間、運賃2,350円です。次回の旅では飯田まで高速バスで向かい、飯田以北を乗るというのもいいでしょう。

平岡駅構内の村営観光施設「龍泉閣」では宿泊もできる

●お得なきっぷ
(1)青空フリーパス
名古屋地区のJR線が土曜・休日に限り1日乗り放題となるきっぷで、飯田線は豊橋~飯田間がフリー区間に入っています。発売額は2,500円です。名古屋を起点に考えると、飯田線方面へはかなりフリー区間がサービスされており、名古屋~飯田間の往復運賃が通常7,140円ですから、大盤振る舞いといえそうです。特急券を買い求めれば特急列車(新幹線を除く)にも乗車できますので、飯田線の特急「伊那路」にも乗れて便利です。詳細は第5回の記事に掲載していますので、ご参照ください。

(2)青春18きっぷ
JR全線の快速・普通列車が乗り放題となるきっぷです。1日1人乗り放題の権利が5回分ワンセットになって11,500円で発売していますので、1日2,300円見当で乗り放題ということになります。飯田線を旅される方が一番多く手にしているのがこのきっぷかもしれません。春・夏・冬の限定発売ですので、お出かけの時期が合うという方は検討してみてください。詳細は第3回の記事に掲載してあります。

(3)木曽・伊那フリーきっぷ
JR東海が発売しているフリーきっぷです。飯田線中部天竜~宮木間および中央西線中津川~洗馬間が乗り放題となるもので、3日間有効です。名古屋市内発の場合、1人用9,800円、2人用12,800円、3人用15,800円、4人用18,800円です。往復の経路では、特急「伊那路」「しなの」の普通車指定席を利用でき、フリー区間内では特急・快速・普通列車の普通車自由席に乗り放題となります。
このきっぷ、フリー区間が飯田線と中央西線という離れた区間に指定されていますが、これには訳があります。JRのフリー区間乗り放題のほか、5,000円分(人数に関係なく)の「木曽&伊那エンジョイチケット」が添えられています。このチケットを利用すると、木曽・伊那地区の路線バスやタクシーに額面分乗車できるのですが、伊那市~木曽福島間を結ぶ連絡バス「ごんべい号」(運賃1,000円)にも利用できるのです。つまり、このきっぷを活用すると、伊那地区と木曽地区の旅を両方同時に楽しめることになります。これは画期的といえそうです。
このほか、沿線の観光施設への無料入場や優待特典などもあり、至れり尽くせり。2009年3月末まで発売の予定です。詳細はJR東海のホームページの案内(http://railway.jr-central.co.jp/tickets/topics/kiso-ina-free/index.html)をごらんください。

木曽・伊那フリーきっぷのフリー区間

(4)普通乗車券でも・・・
飯田線を全線乗り通すのであれば、帰りは中央西線経由が一般的だと申し上げました。となると、名古屋を起点にした場合、東海道線→飯田線→中央線という一筆書きの乗車経路となり、片道乗車券をつくることが可能です。
「名古屋市内→名古屋市内」(経由:東海道、飯田線、小野、中央西)の場合、運賃7,670円となります。また、この経路上の各駅(刈谷・安城・岡崎・蒲郡・豊橋など)を発着とする一周のきっぷを買うと運賃7,350円です。
もちろん、経路上では何度でも途中下車ができ、4日間有効となりますから、じっくりと旅ができます。

とにかく、距離が長い分、無限大に楽しみ方が存在するのが飯田線です。ぜひ、みなさんなりの魅力を発見しに、飯田線を旅してみませんか。

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