文化講座
第41回 知っている人だけが得をする! JRのきっぷのお得な買い方(2)
(2)「乗継割引」を有効に使う
JRの新幹線と在来線の特急・急行を乗り継ぐと、在来線の特急・急行・指定席料金が半額になる「乗継割引」という制度をご存知ですか。制度そのものはご存知でなくとも、窓口できっぷを買い求めると、特にこちらから申し出なくとも割引が適用されている場合も多く(そうであって当然ではありますが...)、知らず知らずのうちに恩恵を得たことのある方も多いのではないでしょうか。
「乗継割引」は、適用される条件がいくつかあります。まずは条件を確かめておきましょう。
<乗継割引の条件等>
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具体的なケースで検討してみましょう(普通車指定席の特急料金はいずれも通常期)。
名古屋→米原 新幹線「こだま」 普通車自由席 1,680円
米原→金沢 在来線「しらさぎ」普通車指定席 2,610円→1,300円(乗継割引)
名古屋→岡山 新幹線「のぞみ」普通車指定席 3,980円
岡山→米子 在来線「やくも」普通車指定席 2,610円→1,300円(乗継割引)
名古屋→長野 在来線「しなの」普通車指定席 2,820円→1,410円(乗継割引)
長野→軽井沢 新幹線「あさま」普通車自由席 1,790円
豊橋→名古屋 新幹線「こだま」普通車自由席 950円
名古屋→岐阜 在来線「ひだ」普通車自由席 730円→360円(乗継割引)
ご理解いただけましたでしょうか。この制度は、1964年に新幹線が開業したとき、それまで優等列車が直通運転されていた区間で、新幹線との乗り継ぎが生じ、特急・急行料金が割高になってしまうのを防ぐために導入されたといわれています。それ以来、半世紀あまりが経過していますが、まだまだ健在の制度です。
さて、この乗継割引ですが、面白いことに気づきます。
安城市に住むAさんは、特急「ひだ」普通車指定席で、高山まで行きました。
東海道線の新快速で名古屋に出て、名古屋から「ひだ」に乗るのが一般的ですから、名古屋~高山間の指定席特急券(2,100円)を買い求めました。
翌日、地元で急に用事が入り、一刻も早く帰りたい、という状況になりました。名古屋までは行きと同様に「ひだ」普通車指定席ですが、背に腹は変えられず、高くついてもいいから名古屋から三河安城まで新幹線(「こだま」自由席)で急ごうと、高山駅で特急券を買うと、請求されたのは1,790円でした。Aさんの頭の中には「?」がいっぱい。新幹線の特急券ぶん高くなって当然なのに、どうして行きより安いのか。
勘の良い方はもうお気づきですね。「乗継割引」の妙なのです。
行きは在来線単独で買い求めていますから、「ひだ」には当然割引が適用されず、そのままの料金となります。しかし、帰りは新幹線と乗り継いでいますから、「ひだ」が半額になります。
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「ひだ」普通車指定席 高山→名古屋 2,100円→1,050円(乗継割引)
「こだま」普通車自由席 名古屋→三河安城 740円
となり、合計は1,790円。行きよりも310円安くなり、缶ビール1本分くらいが浮く計算になります。新幹線に乗ったほうが安上がりになる、という現象が起こったわけです。新幹線は、隣接駅間の自由席特急料金が割安に設定されていますから、こういうことが起こります。時刻表を紐解きながら、このような例を探してみるのも面白いですよ。