愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

青春18きっぷの旅

今回は、気ままな鉄道の旅にもってこいの「青春18きっぷ」をご紹介します。発売以来25年近く経った今も、気まぐれな旅人に愛され続けている、ロングセラー商品です。

1.「青春18きっぷ」とは
少し変わったネーミングのこのきっぷは、JR各社が発売しているもので、日本全国のJR全線が乗り降り自由となるものです。ただし、条件があります。それは、普通列車にしか乗れないということです。新幹線や特急など、通常、乗車券のほかに特急券などが必要になる列車には乗ることができません。快速列車は、普通列車のなかまですので、乗ることができます。乗り降り自由ですから、途中下車も何度でもできますし、同じ区間を繰り返し乗るのも、ひたすら遠くまで乗るのも自由です。

2.その安さが魅力です
この「青春18きっぷ」、お値段は1人1日あたり2,300円。いかがでしょう、割安ではないでしょうか。名古屋を起点に考えると、京都まで普通運賃が片道2,520円ですから、それ以上は「ただ乗り」同然ということになります。具体的には、141キロ以上の区間を片道乗るだけで、モトが取れる計算になります。

3.5回分がまとめて1枚のきっぷに
もっとも、こんな状態ではJRも儲かりませんので、5回分を1枚のきっぷになってセット発売されています。つまり、1回分だけとか、3回分だけといった買い方はできないのです。この5回分を、どう使っても構いません。1人で5回使っても良いし、5人で日帰り旅行に使ってもOKです。5人までであれば、1枚のきっぷを同時に使うことができます(ただし同一行程のみ)。1人で5回分も使い切れないという場合は、3回分だけ使い、残った2回分を他人に譲ることもできます。

4.期間限定発売です
このように安いきっぷですから、年中売っていたらJRも大変です。この「青春18きっぷ」は、期間限定発売となっています。

冬: 12月1日から1月10日まで発売、12月10日から1月20日まで有効

春: 2月20日から3月31日まで発売、3月1日から4月10日まで有効

夏: 7月1日から8月31日まで発売、7月20日から9月10日まで有効
毎年、おおむね上記のような年3回の発売となります(必ず駅の掲示などでご確認下さい)。

5.たとえば、グループで京都へ行くとして
たとえば、5人で京都へ出かけるとしましょう。
朝、名古屋駅で集合し、東海道線下りの新快速に乗り込み、米原で乗り換えると、約2時間あまりで京都に着きます。午前中早いうちに到着できますね。到着後は1日、市内観光を楽しんだのち、夜の東海道線上り新快速で米原へ、さらに名古屋へと戻ります。普通乗車券なら、1人あたり往復5,040円かかるところが、「青春18きっぷ」なら2,300円相当で済みます。新幹線なら40分もかからない区間を2時間以上かけて行くのは時間がもったいないという方もおられましょうが、値段を考えたら、その苦労も我慢できそう・・・ではありませんか?!

6.こんな使い方もできます
今度は、東京へ行ってみましょう。東京まで、昼間の普通列車を乗り継いでいくと、前回も見たように、6~7時間かかります。それは少しシンドイですね。そこで、名古屋23時55分発の夜行快速「ムーンライトながら」に乗ることにします。快速ですから、「青春18きっぷ」でも乗れます。これなら、寝ている間に東京まで一直線、翌朝4時42分に東京に着きます。普通運賃は6,090円ですが、「青春18きっぷ」なら2,300円相当です。
ただし、2つほど注意点があります。
1つは、このきっぷ、1回分につき「1日」乗り放題です。この「1日」とは、0時から24時(=翌日の0時)をいい、日付をまたいで運転される列車の場合は、0時を過ぎて初めて停まる駅が日付の境になります。名古屋23時55分の「ムーンライトながら」に乗るということは、名古屋を出る時点ではまだ0時になっていませんので、2日間にまたがってしまい、「青春18きっぷ」は2回分、つまり4,600円相当になるということです。これでも安上がりだとはいえ、わずか5分で1回分使ってしまうというのも、もったいないですね。そこで、頭をひねります。日付が変わって0時を過ぎてから「青春18きっぷ」を使い始めることにして、そこまでは普通乗車券を別に用意するのです。「ムーンライトながら」の場合、日付が変わってはじめて停まる駅は大府ですから、名古屋から大府まで320円の乗車券で改札を入って乗車し、大府からは「青春18きっぷ」につないで使うということです。これで合計2,620円(相当)という計算になります。
もう1つ注意したいことは、この「ムーンライトながら」、全車指定席であるということです。快速・普通列車の普通車指定席であれば、指定席券(乗車日によって510円または310円)を別途買い求めれば乗れますので、あらかじめ用意しておきましょう。ただし、「青春18きっぷ」シーズンは、発売開始早々に指定席が満席になってしまいますので、なるべく早めに買っておくことをおすすめします。
知って得する鉄道旅行術
このページの一番上へ