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知って得する鉄道旅行術

鉄道ライター/安城学園高校教諭
山盛 洋介

路面電車の走る町

駅に降り立つと、駅前に路面電車が止まっている・・・。どこか旅情を感じる光景です。モータリゼーションの進展により、日本各地の都市から路面電車がどんどん消えていきましたが、どっこい頑張っている町もまだまだあります。その中から、いくつかご紹介します。

1.長崎

港町・長崎は、旅情あふれる町ですが、その風情に一役買っているのが、路面電車です。長崎市街の著名な観光地は、この市電によってほとんどカバーされています。

長崎駅前から北に向かう赤迫(あかさこ)行きの電車に乗ると、平和祈念像・原爆資料館や浦上天主堂へ行くことができます(JRを一つ手前の浦上で下 車して乗り換えても可)。また、グラバー邸・大浦天主堂・オランダ坂へは、正覚寺下行きに乗り、築町で石橋行きに乗り換えます。

この長崎の路面電車は、待たずに乗れる頻発運行で便利であるほか、1乗車100円という安さも嬉しい限りです。1984年に値上げして以来、24年間運賃を据え置いており、1日乗り放題の一日乗車券も500円。観光にフル活用したいものです。

長崎駅前に停車中の路面電車

2.高知

JR高知駅を降りると、桟橋通五丁目行きの電車が駅舎に背を向けて止まっていますので、これに乗り込みましょう。この電車で五分も乗ると、はりまや 橋です。ここで2本の路線が交差しています。後免町と伊野を結ぶ路線で、後免町行きの電車には「ごめん」、伊野行きの電車には「いの」という表示板が掲げ られています。「ごめん」と掲げた電車と「いの」と掲げた電車がすれ違うシーンを見ていると、「・・・ごめんね」「いいのよ・・・」と言い合っているよう に思える・・・のは私だけでしょうか。

土讃線と並行しているので、四国を旅するときに、後免や伊野で路面電車に乗り換えて、地元の人と触れ合ってみるのも楽しいものです。

後免町で発車を待つ電車

3.松山

高知と並んで、四国で路面電車が頑張るのが松山。松山市街をゴトゴトと走る電車は、市民だけでなく、観光客にも親しまれています。

メインルートは松山駅前と道後温泉を結ぶ系統です。松山城を見上げながら、お堀端をのんびり走り、一路、万葉集にも登場する道後温泉をめざします。 明治時代に運転されていた列車を復元した「坊っちゃん列車」もこの区間で運行されており、路面電車とはまた違った旅情を味わうことができます。道後の温泉 旅館に泊まらずとも、松山市街のホテルに泊まり、市電に乗って湯浴みに出かけるというのもオツなものです。

松山市街を走っていく路面電車

4.豊橋

この愛知県にも、路面電車が頑張っている町があります。豊橋です。豊橋駅前から赤岩口・運動公園前に向けて運行されています。この路線は、天下の国 道1号に残った唯一の路面電車で、広い道路の中央を堂々と走る電車の姿は、町の風景としてなくてはならないものになっています。

沿線には、吉田城址や豊橋ハリストス正教会などの見どころもあり、途中下車をしながら、町歩きを楽しんでみたいものです。

国道1号を堂々と走る豊橋の市電
なおこの車両はすでに引退している
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