愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

ものを見るレンズ

新しくカメラを購入するとき店頭などでカメラ本体とズームレンズセットが一緒になって販売されているのをよく見かけますよね。初めてだと何を買っていいのかもわかりませんからある意味参考になると思います。ワイドから標準系までと標準から望遠系までの2本セットが一般的です。また旅行などに出かけるのにカメラの荷物を極力少なくしたいという方にはワイドから望遠までの焦点距離を一本にしたレンズをつけて購入されるのもいいかもしれません。
APSサイズの撮像素子を持つ一眼レフカメラであればだいたい18~200mmぐらいの焦点距離の画角を考えればほとんどの撮影が可能だといえるでしょう。
これ以上の画角を持つレンズで撮影するとレンズの個性が強く出てくる印象を受けるでしょう。撮影者本人がレンズに撮らされている写真になりやすいとも言えます。

  

◇ズームレンズの落とし穴

写したい被写体を見つけた時、その位置からそのままカメラを構えてズームして撮影していませんか?写した写真画像をみて「何かイメージが違うかな」と感じたことはありませんか?これはものをみることとこんなイメージで仕上げようという自分の気持ちが、その場所から撮影するレンズの焦点距離とうまく一致していないことが原因のひとつになっています。レンズの画角やレンズの焦点距離がもつ癖をうまく活かせていないからです。

◇じゃあどうすればいいのでしょうか?

ひとが自然にものを見ている画角が大体レンズに置き換えると50~100mmの焦点距離が一般的だと考えられます。目の前の人をまず全身でみて上半身、顔へと見ていくことを思い浮かべていただくとわかりますよね。この焦点距離でまず撮影する練習を繰り返していくと被写体とカメラを構える位置関係のコツが上手くできるようになってくるでしょう。もちろんファインダーの中からはみ出している時は自分が後ろに下がって撮影します。
小さすぎれば前に進んでバランスをとります。そのとき、主役だけに目をやるのではなく周りの背景(脇役)もよく見てくださいね。
このバランスをとる練習を重ねていくことで構図を旨くつかめるようになってくるでしょう。

  

◇そして気付くこと・・・

ものをよく観察してレンズを通して撮影する
この繰り返しをしていくとある事に気付かれるはずです。
自分が見ているものとレンズが見ているものに写す違いがあることに。
例えればお母さんが写すわが子の表情と他人の子を被写体として捉えたとき、そこには大きな差が生まれますよね、「愛情」という気持ちがお母さんの写真には写っているからでしょうね。この気持ちを写すという意識で撮影することが大切だと思います。そうすればレンズが自分と一体になって気持ちを写真に閉じ込めてくれるでしょう。

ここまでくると今度はズームの端っこ(ワイド側、望遠側)を旨く使ってより気持ちを強調した作品づくりができるようになってくるでしょう。

まずはものを自然に見つめ自然に写すことができる標準域を旨く使いこなすように練習してください。そして何よりも大切なことはその写真に自分の気持ちが写っているかをいつも確かめることをしてくださいね。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

デジタル写真の楽しみ方
このページの一番上へ