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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

ルッキズム

皆様、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新春を迎え今年一年をどう過ごそうかといろいろ計画を立てている方も見えると思います。最近は年齢と相談しながら無理のない予定を考えるようになりました。若い時は2、3年先のことを踏まえて予定を考えていましたが、最近ではこの一年をどう過ごせば有意義なのだろうという方向に変わってきました。


*今回の写真は昨年の1月に訪れた奈良公園のスナップ写真から集めてみました
いよいよ冬本番を迎える奈良公園近辺を散策した時の写真です

最近時々TVのニュースなどで耳にする言葉で『ルッキズム』というものがあります。(外見至上主義)とも言われています。言葉は新しくなっていますが、昔から社会に根強く存在している差別的な考え方ですよね。人を外見から見て判断する『顔採用』など昭和の面影を引きずっている悲しい言葉だと思います。SDGsでも克服するべき課題の中に入っていますね。見た目だけで判断することは多様性が必要なこれからの社会ではマイナス面になることがたくさん出てくるでしょう。

こんな事を思ったのは、今のSNSの写真の世界でもなんとなく似ている部分を感じたからです。絶景至上主義的な写真がまだまだ主流として持て囃されているのがなんとなく『ルッキズム』的な考え方の根本に似ているように思えてしまいます。確かに光、時間、その日の状態が良ければ見慣れた光景も『絶景』になるかも知れません。最初にそれを見つけてSNSに投稿された方にはエールを送りたいです。

・・・が、その後その写真に惹かれて同じような作品が SNS上にたくさん上げられてくる状態がなんとなく『ルッキズム』=(絶景至上主義的な写真)を認めているような感じに似ている気がします。差別的な本当の『ルッキズム』とは意味が違いますが、大勢の人がある一部分だけに群がる体質部分に本質が隠れているように思えてしまいます。

変革=進化の写真世界をより広く楽しむためにそろそろ絶景だけを良しとする作品作りからさよならをする時期かも知れませんね。絶景写真が好きならば人が見たこともないものを撮る努力をしたいと思います。人の心(記憶)に共鳴する写真は案外身近な光景から見つかるかも知れません。写真のアンテナをいつも張り巡らせて作品作りを楽しみましょう。これが私の一年の目標です。

今月の一枚

愛知県の東幡豆海岸のトンボロ干潟です
大潮の干潟時には写真に見える前島まで徒歩で渡ることができます。冬には多くの渡鳥が訪れます。
近くには愛知こどもの国があります


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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