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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

想像力

暑い毎日もあとしばらくの辛抱ですね、頑張って体力も気力も少しずつ元に戻して楽しい写真生活を送っていきましょう。
今回は、撮る側とそれを見る側の関係から写真を考えてみましょう。

一枚のプリントされた写真を見るとき当然撮影者はどういう気持ちで撮影したのかは理解しているのが普通ですよね。しかし第三者にその写真を見せた時に撮影者の気持ちが伝わるかどうか。それはその一枚の写真の中の情報(気持ち)が相手に伝わるように撮られているかということに繋がります。
見る側の人もその写真が発信しているメッセージをどう見ればいいのかを一生懸命に読み取ろうとしています。撮影者はその一枚の中にきちんと伝えたいメッセージを取り入れて撮影しなければ一方通行になってしまいます。

  

そこでその写真が説明的な傾向が強い写真なのか、イメージとして写真の中に込められたものを考える写真なのかによって撮影方法やテクニックの使用法などが変わってくるわけです。
たとえば、説明的な要素が濃い写真の場合は被写体の色や形がよくわかるような光線の下で撮影する必要があります。一枚の中にどのくらいの情報を切りとればより良く伝わるのかも考えながら撮影していきます。この場合は、正確に伝わる写真がいい写真と判断されます。観光案内などに使われるものや図鑑などの場合がこれにあてはまります。
これとは逆に最初見たときには、何がいいのかよくわからないような写真も存在します。写真に込められているメッセージを見る側が撮影者の気持ちに同調させないと伝わらない場合があります。見たときにすぐ同調して感動する人もいれば一生懸命考えながら作者の気持ちを読み取ろうと努力する人もでてくるでしょう。
また、見る側がそれ以上の発見をして新しいなにかを作者に伝えることもできるかもしれません。

  

今回の作例写真は、説明的要素の強いもの、伝えたいメッセージを優先的に撮影したものとに分けて同じ題材を四種類掲載してあります。見比べて楽しんで見てください。

どちらがいいというのではなく見ていて楽しく想像力に広がりが持てるのは後者だと言えます。プロが撮影するのは前者の要望がきちんと写真に入っている必要がありそれに隠し味として他人とは違うテクニックを使用して撮影されています。
どう見せれば正確にそして魅力的な写真になるのかを考えて撮られています。
でもアマチュアの方がこの方法で撮影をしていくと技術は旨いと感心するのですが写真から伝わってくる楽しさは消えていってしまうと思います。ただ、表面的に良さそうな感じは受けるが、本人がなにを伝えるために撮影したのかが薄れている写真とも言えるでしょう。見る側も「ワー、きれい・・・」で終わってしまいその後の印象もその場限りの写真ではちょっとさみしいですよね。

心のメッセージを写真(被写体)に込める。そんな方向がこれから主流になってくると思います。こう撮らないといけないというこだわりを捨ててもっと自由なスタイルを探る時代になっていくでしょう。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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