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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

バーチャルモデル

9月になれば少しは涼しくなるのかな?そんな思いを抱きながらこの原稿に向かっています。昨年度も確か9月後半から10月の声を聞く頃に一気に涼しくなった記憶が・・・。海水温の上昇に伴い南国でしか見られなかった魚がこの地方で獲れる現状には少し怖さを感じずにはいられませんね。地球規模の大きな変化を真剣に考えることも必要だと思います。AIを利用して対策を考える時代になってきたようです。

最近の企業広告ではモデル撮影もAIでバーチャルモデル(人物等)を作り本物のモデル以上の広告表現ができるようになっています。AIに仕事を取られる職業の一つに近づいています。単に顔立ちが綺麗、スタイルが良いだけでは生き残れない世界になってきました。写真の創作もこれからAIを取り入れた完成度の高いものが世の中に氾濫してくるでしょう。S F映画では目に見えないAIの感情を持つ姿が物語に出てきましたが、現実化に少しずつ近づいてきたように思います。

これからの写真の楽しみ方も今まで以上に新しい広がりを見せてくれる期待と人では表現不可能なことを可能にしてしまうAI表現に嫉妬と不安感を抱く今日この頃の心境です。

これまで何度も写真のオリジナリティの大切さに触れてきました。SNSの情報収集が簡単にできるようになりオリジネーター(originater)が最初に新しい場所を発見し撮影しても情報発信すると瞬く間に模倣され同じような写真がSNS上で溢れかえります。8月に各地で開催された花火の写真など次の日にはInstagram上で同じような写真で溢れかえっていました。一昔前なら情報が伝わるのがゆっくりだからその写真の価値観がもてはやされて一つの作品として通用していましたがSNSの発展により今ではその一枚の貴重な写真も簡単に模倣され世界中に溢れるようになり作品として成立しにくくなってきました。

発見する楽しみが写真の面白さでありこんな所があったよと発信することで作品が成立していたのが今ではその一枚が情報としてしか見られずすぐにオリジナルの作品的な要素がなくなってしまう時代になってきています。

これからは被写体を発見し自分はその被写体をどう見ているのか、どう見せたいのかをシャッターを押す前にしっかりと考えて押すことがより重要な課題になってきています。SNSの情報発信をうまく利用しながら自分のオリジナルな作品づくりを目指したいものですね。それには諸先輩が築き上げたHow Toを見直すことすなわち"温故知新"の中に新しいヒントがあるかも知れませんね。

今月の一枚

滋賀県今津の桂浜園地に咲く彼岸花です。毎年お彼岸あたりから9月下旬に赤く浜が染まります。湖北の竹生島が正面に見え琵琶湖らしい景色が望めます。琵琶湖の西岸なので午前中は逆光気味の光で撮影できます。観光地で人気の高い場所です。
滋賀県高島市今津町桂


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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