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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

余白

寒さがピークといわれる2月も、今年は暖冬のせいか過ごしやすい毎日が続いています。
梅の花の開花も早いかもしれませんね。

写真の上で構図を意識して作画することはとても大切な要素です。右や左に中心が偏った写真はバランスが崩れて不安定な構図になります。その中心(重心)の位置や大きさ、色のバランス、濃度のバランスをうまく構図上で作り上げることは結構大変な作業です。光の方向や影の分量なども影響してくるでしょう。
それらがうまく組み合わさったときに、見ていて心地よい感銘を受ける写真が出来上がります。
しかしあまりにきっちりと作り込みをしてしまうのも、見る側からすれば疲れる写真に感じる場合もあります。
とてもうまい絵作りの写真なのに見終わった後で緊張感がほぐれない、そんな感じの写真を見たことはありませんか?そこには作者の伝えたいことが、見る側にこれでもかという感じで迫ってくるスタイルの写真に多くみられる気がします。
山登りで例えれば、前人未踏の山にザイルなどを使って登るスタイルのように、登山家の緊張感が伝わる登り方のような感じです。その逆に、低山ハイキングでのんびり山の姿をみながら楽しむ登山もあるでしょう。
また今年開催されるオリンピックの競技を見るときも、ハラハラする緊張を感じるのではないでしょうか。小学校の運動会のように競技を楽しんで見れるスポーツもその真逆的なものかもしれません。
どちらが良いというのではなく、作者と見る側の繋がり方がポイントになってきます。シャッターを押す瞬間どちらを目指すかを意識することで、撮り方の方法論が変わってくるということだと思います。

余白・・・構図の中にこの言葉を意識してみることで作画に変化が生まれてくるでしょう。少しゆる〜い間(ま)を取り入れると、写真から受ける印象に安心感が抱ける感じに仕上がります。その分印象が身近なものに感じられ、これなら自分でも撮れるのではという思いを抱きます。現在のInstagramを見てみると、「いいね」の数が数千という写真にも余白効果を活かしたのがたくさんありますよね。
絶景写真のようにギリギリまで追い詰めたすごい写真も素敵ですが、日常のふとした瞬間で撮影された余白を持つ写真もやはり魅力を感じる今日この頃です。
さて、皆さんが目指しているのはどちらでしょうか?写真って、やはり奥が深いものですね。

今月の一枚

2月も半ばになると、観光地の商店街の店頭にお雛様が飾られます。
ひと時だけでも春を感じる瞬間です。
開放値の明るい標準レンズで背景のボケ効果を作り出して画面をすっきりさせて撮影しています。
光の方向もしっかり確認します。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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