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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

リアル

皆様新年あけましておめでとうございます。今年も皆様にとって良き年になるようお祈り申し上げます。

写真は目の前に現れた(存在している)光景を写しとる行為を楽しむものですが、カメラは機械的に記録していくだけで目の前の光景を物理的にデーター化するだけです。なんだか味気ない話のようですが、その写しとったデーターには作者の思い入れが込められているはずです。一枚のプリントにして鑑賞することで更に第三者(見る人)との理解の共有や印象のずれなどが生じ色々な思いが生まれてきます。よく心象風景などと呼ばれる写真も撮影者の切りとり方と見る側の感情がうまくマッチして楽しめたり逆に理解されずに寂しい思いを抱いたりする訳ですがすべてをひっくるめてそれが面白いのだと思います。

AI(人工知能)の発達により最近では「未来の〇〇の風景」などと言葉で言うだけでコンピューター上のデーターの集積からAIが考えたイラストや写真の風景が瞬時に出てきます。SF映画のポスターのような光景がとてもリアルっぽく映し出されてきます。AIにとってそれがリアルな表現風景なんだと思います。

感情を持ち込まないで作られたその一枚に人は感情で「おぉ、すごい」と反応するちょっと面白い光景ですね。人は現場に行って直接現実の世界を見ます。AIは膨大なデーターの中からリアルを作り上げていきます。写真の世界もこの両者との競争がもっと激しくなってくるかもしれません。人独自のオリジナルな感性をもっと磨きAIとは違った映像を求めていくのでしょうね。

今部屋の壁に自分が写っている写真が2枚貼ってあります。去年の実習教室の折に会員さんが撮ってくれた現場撮影の姿です。あぁあの時こんな感じで自分は撮影していたのだと第三者的に時々眺めています。リアルにそこに存在して目の前の風景や花を撮っていたんだとその時の情景が蘇ってきます。そしてその時撮影したデーターをパソコンから見てみるとよりリアルな感情が湧いてきます。だからと言って写された写真の中にその思いが閉じ込められているかどうかは定かではないのですが。何を伝えたいのかがリアルに感じられるかどうか、その悩みの種を持ち込むことが写真の面白さかもしれません。AIの数秒で完成された悩みなき結果とは違う人がカメラを使って撮ることの本質ではないでしょうか。

AIにはできない人の感情から湧き起こる、撮ってみたいという気持ちがこもった写真を今年も作っていきたいなと考えている年の初めです。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今月の一枚

渥美半島の先端に近い日出の石門近くの展望場所から見た冬の夕景です。遠くに見える神島あたりに日が沈んで行く季節がベストです。この向きの反対側(東方向)からは日の出撮影ができます。元旦の初日の出にはこの周辺もたくさんの見学者でいっぱいになります。
愛知県田原市


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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