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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

断捨離的思考

いよいよ梅雨入り間近な気がする今日この頃です。雨交じりの中での撮影は機材の水濡れを気にしながらですから大変ですが、雨の日だからこそ見える風景もたくさんあります。小雨程度であれば出かけてみてはいかがでしょうか?花撮影には水滴もおまけで付いてきます(笑)

数年前から「断捨離」という言葉をテレビ、インターネット、新聞等でよく目にしますよね。従来の整理術とは基本的に違う片付け方だと聞いています。
部屋の中がすっきり片付くだけではなく、自分の生き方まですっきりと変化する方法のひとつだと色々な方達が言っています。物で溢れた部屋から自分にとって本当に必要な物だけを残して生活をしていくと、自分がどう生きていけば良いのかも見えてくるといわれています。使わないけど高い頂き物だから捨てられない。思い出がいっぱい詰まっているから捨てられない。そんな他者からの縛りごとを「断捨離」という方法で心の解放を促しているのかもと思います。
なかなか普段の生活習慣から抜け出せず、心の中がいつもモヤモヤしている自分を変えるきっかけになるかもしれませんね。

写真の世界でもカメラなどの物質的な整理だけではなく、撮影にも応用できるかと考えています。まず機材の「断捨離」。デジタル時代に入ってから使わなくなったフィルムカメラを整理処分した時のことを思い出します。
依頼仕事をデジタルでというのが当たり前の今日、ひょっとしたらフィルムカメラがいるかもと残していたのですが、販売されているフィルムの種類も僅かになり名残惜しくも全て処分しました。使い切れなかった期限切れのフィルムから月日の経つ速さを感じました。大型カメラから中型カメラ、そして35mmカメラと自分の体力が落ちていく順で整理したことを覚えています。
その頃はまだ「断捨離」とは思っていなかったのですが、考えてみると「断捨離的思考」が当てはまるようです。苦手だったパソコンの操作に集中できたのもこの頃からです。画像修正などの便利な機能を覚え、新しい写真の方法論が見えてきたのを感じました。

「断捨離」という言葉は、ヨガの断行、捨行、離行からきているらしいです。
何か哲学的みたいですが、自分に必要なものを見極める方法論として考えていけば写真撮影にも応用できる気がします。選択、決断が必要な「断捨離」と、何をどう撮れば良いのかをいつも考えながら撮影する写真にたくさんの共通点が見られます。
写真撮影は選択の連続から成り立っています。機材の選択、被写体の選択、フレーミングの選択、絞りやシャッタースピードの選択、色合いの好みの選択などをして決断していきます。「断捨離」をしていらないものを捨てて自分の心を見つめ直すところなど写真撮影行為そのものではないでしょうか?
他人にいいねと言ってもらうために撮るのではなく、自分をより深く知るために撮る写真にしたいと思います。
物が増えすぎた自分の部屋を見てそろそろ「断捨離」かなぁと考えていたら、上記のことに繋がってきた今日この頃です。雨で出かけない日が良いのか、すっきりと晴れた気分良好の日が良いのか、散らかった部屋の「断捨離」の予定日が決まりません。

今月の一枚

岐阜県の西濃方面の天空の茶畑として話題になっているところです。
山道を登っていくとこの茶畑全景が見下ろせます。お茶の葉の新芽が出る初夏が撮りごろの時期です。お昼すぎになると逆光気味の光になり風景全体も立体感が出てきます。雨上がりだとモヤが良い雰囲気を出してくれるでしょう。
標準ズームが使いやすい場所だと思います。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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