愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

記録の中の時代性

雨上がりの陽射しに夏の光を感じる今日この頃です。夏の暑さと戦う毎日になってきます。無理をせず写真撮影を楽しみましょう。

写真はシャッターを押した瞬間にその時の記録を残します。家族のその日の記録も、○○記念だというつもりで写真を撮ると思います。しかし時間が経つにつれて、少しずつ写真に写っている中身の意味合いが変わってきます。最初はプリントされている人たちがいい表情で写っている事に興味を惹かれているはずです。しかしそのプリントを十年後ぐらいに再度見返すと、着ている服とか背景の生活感などに興味が移っていくでしょう。あの時は、こんな格好をしていたんだとか、このテーブルで食事をしていたんだなど、違った見方の懐かしさに感じ入ると思います。家族のアルバム一つでも単なる記録の写真から、その時代の記憶を心の中に残していきます。

作品撮影としてどこかに出かけて撮影する時もこの事をいつも意識しておくと、背景の扱い方や構図の切り取り方に迷いがなくなってくると思います。
人の思いとは関係なくカメラはその被写体を決められた設定で撮ってくれます。
目の前に現れた光景に対して「綺麗、面白い、すごい、懐かしい」などと感じてシャッターを押したくなるはずです。しかし写っている物はただそれらの感情だけではなく、必ずその時代性が後から付加されてきますから、それを意識して撮影すれば永くみんなに愛される写真に繋がるはずです。過去の写真家の名作などを見返してみると「なるほどなぁ」と納得できると思います。

単なる趣味で撮っている写真でも時間が経つことでプラスαの付加価値が付いてくるのが写真のもう一つの面白さかもしれません。古いアルバムが残っていればもう一度この事を意識して見てみると良いと思います。
花や自然風景などの写真はあまり直接的な時代性とは関係ないような気もしますが、少し意識して時代が写り込むように撮影することで作品としての新しい撮り方や重みが見つかるかもしれませんね。

今月の一枚

福井県若狭町にある「瓜割の滝」というところです。
小さな滝が幾重にも重なり、新緑と水の流れがとても綺麗な場所です。
天然水が湧き出てそれが滝の流れを作っています。駐車場近くにはその天然水を求めて訪れる人がたくさんみえます。
陽射しの柔らかな曇り日が撮影には向いています。ND(減光)フィルターを付けてスローシャッターで撮影しています。


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

デジタル写真の楽しみ方
このページの一番上へ