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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

標準レンズ

秋の気配を色濃く感じる今日この頃ですね。気候もお出かけには適した時期になってきました。少し遠出を考えて撮影したい季節です。

前回単焦点レンズのことをお話ししましたが、そのなかでも基本といわれている標準レンズについてもう少し考えてみましょう。フルサイズの撮像素子を持つカメラでは50mmが標準レンズになります。APSサイズ系のカメラであれば焦点距離約30mmぐらいの画角域で発売されているものがそれに近いものにあてはまるでしょう。解放F値も1.4、1.8、明るいもので1.2というレンズもメーカーによっては出ています。当然これくらいの解放値で撮影すれば被写界深度もとても浅くなりピント位置もシビアに要求されてきます。いい加減にピント位置を決めて写すと見せたい主題の位置と違ってしまいますからなんとなくピンボケっぽい写真ができてしまいます。フォーカス位置をどこに合わせているかを確認しながら撮影していくようにします。

レンズの設計に無理がないので絞り込んで撮影するとフレーム周辺まで歪のない解像感のあるとてもきれいでシャープな写りを楽しめることも味わえます。最近の流行のユルカワ系に好まれて使われることが多いレンズですが、きりっとしまりのある画像も得意なのです。いつも解放値近くでしか使っていない方は一度お試しください。

人が目の前の光景を見るときの自然な画角と標準レンズは一致しますから素直にものを見ている雰囲気をそのまま一枚の写真に閉じ込めることが得意です。見たままを素直に第三者に伝えたいときは効果的ですね。より印象的な雰囲気にするためには絞り値の変化で写り方(被写界深度)を変えていきましょう。f1.4~f16までの広範囲な絞り値がきっと役立ってくれるはずです。絞りの写真的効果をしっかり教えてくれるのもこのレンズの役どころだと筆者は思っています。広角レンズや望遠レンズの面白さについつい目がいきがちになります。写真を始められた最初の頃はそういうところについ目がいきがちになります。それが個性的に感じられるかもしれません。でもレンズの画角効果によって撮らされただけの写真に陥りやすいのも事実です。主役とその背景の写り方がそれぞれのレンズによって違ってきます。自分が目の前の光景をどう感じてどう写すかをしっかり考えることがそれぞれのレンズの画角をうまく使いこなすことに繋がることを意識するように心がけましょう。

昔から写真の表現は50mmに始まり50mmで終わるという言葉があります。この意味を追究するためにいろいろなレンズを使っているのかもしれませんね。

(今回ここに掲載されている写真はすべて50mmf1.4のレンズで撮影しています)

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
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