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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

ボケ写真を楽しむ 2

外に出てみると緑も鮮やかさを増し、植物たちも色とりどりで写真撮影にも最適な季節になってきました。晴天の日だけでなく曇天や小雨の日でも楽しく撮影ができる時期でもありますね。今回は前回の続きでもう少し具体的な撮影例を介してボケ写真を解説してみます。一眼レフ(ミラーレスを含む)カメラならではの特徴を活かせるボケの効果を覚えましょう。

A,Bともほぼ同じ位置から撮影しています。Aはカメラに近い手前に咲いている花にピントを合わせて撮影しています。Bはその奥に咲いている右側の花にピント位置を移動して撮影しています。A,Bでの違いは撮影時にカメラの位置を少し前後に移動して撮影していることです。ボケ効果がうまく活かされているのはやはりBの写真でしょう。Aのピントの合っている花に少しレンズを近づけてその奥の右の花にピント位置を移動するだけで「前ボケ」を利用した写真に大きく変化することが解りますよね。
ボケ効果をどの花で活かすのかを選択するのがポイントです。

    ボケ効果の写真=画面の整理を考える

どの花をボケ効果として利用するのかを考えるときの注意点は、花どうしの前後の距離感を考えて撮影します。互いの距離が離れているときはボケの効果が出やすくなりますが逆の場合はボケにくく画面がゴチャゴチャした感じになります。撮影前によく観察してピントを合わせる花を選びましょう。

マクロレンズは焦点距離をズームレンズのように変えることができませんからカメラを前後に移動して画面の構図を考えましょう。また前ボケをうまく活かすには花に近づくほど大きく柔らかな感じでボケるということを覚えておくといいでしょう。絞り値は解放値に近いほどボケやすくなります。

上のお猿さんの写真は望遠レンズのボケ効果を利用して撮影しています。焦点距離の長い望遠レンズはピントを合わせた前後が大きくボケやすくなります。主役を画面的に浮き出すように撮影することができます。動物などあまり近づいて撮影することが出来ない場合に便利ですね。焦点距離が長くなるほどボケ効果が大きくなります。レンズの大きさも重さもより大きくなります。200mm~400mmの解放F値が明るいレンズが動物写真には向いています。被写界深度も浅くなりますからどこにピント(目に合わせるのが一般的ですが)を合わせるのかをしっかりと確認しましょう。

この写真のように背景を少し見せる場合にも絞り値を解放値の近くで撮影することで、主役のお猿さんに視線がいくように見えます。その場の状況をどう写したら雰囲気が伝わるのかを考えて撮影しましょう。

このようにボケ効果を活かした写真も楽しいと思います。一度挑戦してみてくださいね。

筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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