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デジタル写真の楽しみ方

(社)日本写真家協会(JPS)会員・フォトス ハットリ 代表
服部 辰美

オリジナル性

春の陽気を目一杯感じる季節になってきました。身近に咲く桜やチューリップなども楽しみの一つですが、少し遠出して観光気分も味わいたいですね。

近年『写真表現』ということを考えたとき、一昔前のような写真表現の考え方では通用しなくなってきていることを知っておくべきだと最近よく感じます。
プリントして展示発表をしたり写真集で見てもらう従来の写真表現方法が、今ではSNSなどで簡単に見てもらうことができるようになりました。
そこにはインターネットが世界中に網羅されネット上に発信した瞬間、その写真や言葉が国内だけではなく世界中に発表されてしまうことを再度肝に銘じておくべきだと思います。表現のために必要な技術の習得にはフィルム時代はとても時間がかかり、身につければ一目置かれる存在でもありました。ところが今ではYouTubeで検索して知りたい方法なども簡単に手に入れることができます。各地の情報や隠れた絶景地などもSNS等で検索して、すぐに今の情報を確認することも可能です。知りたいことをみんなで共有することはいいことだし、写真の持つ素晴らしさを広げてくれる手段と考えればなんの文句もありません。しかし、表現の個性という部分まで共有していくとそのオリジナル性を失っていくことにつながっていくのではないでしょうか。最初(発案者)が誰なのかさえ時間とともに不明になっていくでしょう。その個性的表現(オリジナル)がSNS上で一瞬に共有されすぐに模倣されてオリジナルではなくなってしまうからです。

日本では以前から風景写真のオリジナル性について色々な見方がありました。
今でいう絶景地でカメラを構える風景写真家(アマチュア含む)は以前より多く見られます。一度は撮ってみたい新しい手法を駆使して発表(発信)してもInstagramなどには同じような写真が溢れていて落ち込むことになります。
若い写真人類の人たちも右に倣え的な感じで溢れています。仲間とそれらの写真を見せ合って共有感を持って楽しむのはいいのですが、写真表現のオリジナルということを目指すには違和感があります。自分にとっては凄いことでも同じような写真がSNS上では当たり前のように溢れていることを知っておく必要があると思います。同じ場所から写真雑誌の作例のような写真を撮って満足するのではなく、その場で自分が見た、感じたものを撮影に取り入れて個性的な作品をもっと作りたいですね。そうすれば写真の観察と発見の面白さをもっと感じることができるでしょう。

今月の一枚

琵琶湖の水を京都に取り入れるための小さな運河です。第一トンネルあたりの入り口付近に咲く桜並木のライトアップが見頃を迎えていました。橋の中心辺りから三井寺方面を撮影。時期的にとても混雑するので余裕を持って出かけたい場所の一つです。滋賀県大津市三井寺町


筆者のブログには、デジ一眼やコンデジで撮影したものを
いろいろ掲載しています。
PHOTO COLOR
http://tatumiiro.exblog.jp/

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