文化講座
Well-being120(120歳まで幸せに生きる)・・30 自然の生きがい Well-being120-12:私は20年以上前から悪性進行前立腺癌-4
ヒットラーによる完全な人間性を奪われた強制収容所での経験を記録したV.E.フランクルの『夜と霧』を前回取り上げました。
今回は、その強制収容所のような地獄にあっても自分を含めて生き延びた人たちがあり、どういう人たちかを記しています。
決して、強靭な体を持った強い人たちではないのです。
私はWell-being120のためには、心の持ちよう、食と運動が大切だと記していますが、強制収容所では食と運動は完全に支配され、自由はほぼ奪われ、いつも命が危険な状況が3年ぐらい続いたのです。
ヒットラーと言えども「内なる心の自由」までは奪えません。
結局、大切なのは、次のような「心の持ちようがある人たち」です。
1)自然や美しいものに感動するこころ。
一日中の過酷な強制労働で疲れ、夕食はお粗末で小さなパンと具がほとんどないようなスープだけの食事をすませて、あとは寝ようとしていた時、外に出て来いと大きな声で呼ぶ人がいました。
何事かと急いで外に出ると美しい夕焼けの空が見えたのです。
如何に劣悪な状況でも美しいものに感動するこころを失っていないことが重要だとわかります。
2)自分に与えられたのがわずかな食べ物であっても、今にも死にそうな人に与えようとする思いやりのこころを失っていない人。
逆に、どうせ死ぬのだからと身にまとった服や靴などの身の回りの物を奪うような人たちはだめであり、アンパンマンのように身を削ってでも与えるような優しいこころのある人です。
3)生き延びて自分のやりたいことを持っている人。
フランクルは論文原稿をもって収容所に入ろうとして奪われたのですが、収容中はその経験を紙切れでもあれば速記していました。
驚いたことに解放された翌年には9日間で『夜と霧』を書き終えたのです。
また、収容所での体験の講演も始めて、3回の講演の内容を『それでも人生にイエスと言う』として刊行したのです。
4)愛する人や待っている会いたい人たちがいる。
自分に会いたがっている人や自分を大切に待ちわびている人が居ることが大切だとしています。
以上のように、如何に厳しい環境であっても美しいものに感動するこころを失わず、如何に空腹で難しい状況でも分かち合おうとする人間味があることが重要なのです。
そして、どんな劣悪な状況になっても、生きて解放されてやることがある人や待っている人がいると希望を失わないことです。
「パンドラの箱」を開けたような「如何に苦悩、苦痛にあっても耐え続けるために内なるこころの自由と希望を失わない」がキーだとわかります。
私は幸福に生きるためのスペシャリスト及びデザイナー(Wellbeing Specialist & Designer)を本業としていますが、フランクルはブッダと共に如何なる状況となっても自分らしく生きるための基本となる指針を教えてくれます。
「それでもイエスと言う」こころです。
運命は自分の人生であり、人生には問い続けられ、答え続けなければならないのです。