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Dr.ビュート流の健康ライフ ー自分流のライフベネフィットー

Dr.BEAUT・ソフィーリッチ代表
医学博士 山中 直樹

Dr.ビュート流もう一つの栄養情報・・5

死亡率は低コレステロールで高い-3

 今回は低コレステロールで死亡率が高くなるとのお話に戻します。
 既に紹介のN.Nagoら自治医大グループによる疫学的なコホート調査研究の論文からの紹介です。
 まず、総合的なまとめとして、コレステロール値の高低と癌、脳卒中、心筋梗塞などのすべての病気を含んだ死亡率との関係を取り上げます。
 つまり、心臓病以外の病死が原因も含めた死亡率とコレステロールとの因果です。
 論文では、年令、性別、最高血圧、HDLコレステロール、禁煙の有無、飲酒、BMI(体格指数)による影響の補正が行われており、その結果はコレステロール値の高低による死亡率が今までの研究よりハッキリします。
 更に、コレステロール値が低いグループでは他の病気の影響が本当の死亡が理由だと言われないように、次のような条件の人達は除いた結果で比較しています。

1)5年以内に死亡した人は除いた結果の順位比較。
2)癌、脳卒中、心筋梗塞の前歴のある人は除いた順位比較。
3)肝臓病で死亡した人は除いたコレステロール値と死亡率の順位結果です。

 つまりは、コレステロール値の高低と死亡率の増減が浮き彫りになった結果です。
 コレステロール値は次のようなグループ別です。

 G1:160㎎/dl未満群
 G2:160~200㎎/dl未満群
 G3:200~240㎎/dl未満群
 G4:240㎎/dl以上群

 いずれの結果も肝疾患死亡を除いた場合の結果です。

I )コレステロール値の高低と総死亡率順位

順位 1 2 3 4
男性 G1 G4 G3 G2
女性 G1 G2 G4 G3

II )5年以内の死亡を除いたコレステロール値と死亡率順位

順位 1 2 3 4
男性 G4 G1 G2 G3
女性 G1 G2 G4 G3

III )癌、脳卒中、心筋梗塞の前歴のある人は除いた総死亡率順位

順位 1 2 3 4
男性 G4 G1 G3 G2
女性 G1 G2 G3 G4

まとめ

1)総死亡率順位
 男女ともに低コレステロール群G1で死亡率は1位となる。
 男性では2位は高コレステロール群G4が続くが、女性ではG4は3位となる。

2)5年以内の死亡者を除いた死亡率順位
 男性では高コレステロールG4群が1位で、低コレステロールG1が2位と続く。
 女性では低コレステロール群G1が2位で、高コレステロールG4群は3位となる。

3)癌、脳卒中、心筋梗塞の前歴がある人を除いた死亡率順位
 男性では高コレステロールG4群が1位、2位は低コレステロール群G1。
 女性では低コレステロールG1群が1位、高コレステロールG4群は4位。

 以上より、女性ではすべての条件で低コレステロールで死亡率が最も高いと判ります。
 男性では、いずれの条件でも低コレステロールと高コレステロールで1位、2位を分け合っています。
 しかし、ここでは結果は示してありませんが、男性では肝疾患死亡を含めると、いずれの死亡率でも低コレステロールG1群が1位となり、高コレステロールG4 群が2位と逆転する結果となります。
 つまり、男性ではコレステロール値は高低のいずれも避けた方が良いのです。
 女性は低コレステロールは高コレステロールより危険だとなります。

Dr.ビュート流の健康ライフ ー自分流のライフベネフィットー
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