文化講座
心霊&科学と健康
健康およびサプリメント&代替医療を考える上で、人類と心霊&科学史を概略しよう。
人類は、他の動物とは異なり、二本足で立ち、手を使い、道具まで開発、利用した。また、言葉によって意志を交換し、文字を用いて知識を共有、継続しながら、多くの人々が参加して互いに積み重ねる発展をして来た。
そして、自然と未知への畏敬と同時に人間生活に利用しようと創意、工夫を重ねた。
一方、個々の人間は社会集団を形成しながら自己を意識して自我に目覚めた。家族、一族に始まる集団性をなし、自然を利用し、他集団と協力したり、争い、戦うことによって、生存する安全性を確保しようとして来た。
次第に地域、国家と言った体系をなし、宗教や人種、民族性をベースとした文化、文明的特殊性・普遍性を蓄積して、グローカル文化を形成して今日に至っている。
その間、人類は死の恐怖や個人のエゴ、勢力や権力を求めて争い、戦争を繰り返して来た。そうした過程で、人の命の尊さとはを知ると同時に、自然環境に挑ん
だり、命の危険、活きて行くために不都合な病気に対して如何に対処するかを学び、知識を蓄積した。
人間の命や自然への不安に最初に答えようとしたのは未知や神への畏敬や宗教者による心霊的(spiritual)な救いからと言える。しかし、科学性に目覚めて次第に変化した。
人体、自然の科学的解明は心霊性を大切にする宗教集団との抗争が不可避だった。
科学性は、自然や生命、人間の病気について、因果律と再現性を持った必然性を高めた理解を深めて、逆に自然を利用したり、治療法も見出した。
今日、人間の命の仕組みについては、個人的特異や特殊性を含めて解明が進んだ。遺伝子操作技術やクローン技術は個人レベルの命の機構の特殊性、多様性も含めた科学的対応を可能にしている。
一方、宗教や畏敬を含む心霊性は、本来、個人レベルの対応から始まったが、命に対する科学性とは逆に、集団化への方向が進んだ。また、近代に至っても、科学ほどの進展をしていない。
今や、心霊性は、人の命の科学性の未解決の領域を基本として思考すべきか。はたまた、心霊性が科学とは異次元の固有体系を持って人の命に関与しているとの立場に立つべきか明確にすべき時が来ている。
人類の活動が地球レベルの自然や社会資源の限界まで及ぶようになっている現代では、自然、心霊、哲学、科学、経済、アートを直視しながら、「人の命、健康とは如何に」を考えなければならなくなっている。