文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性 その21
肥満と痩せの危険性・・13
今回も、T.Pischon らの論文からの続きです。
BMI(Body Mass Index,体格指数)と癌死リスクの増減との関係を検討します。表のデータは、前回同様に、BMI 23.5to<25での死亡リスクを1.00とした相対的死亡リスクを示します。
BMIと癌死の相対的リスクの増減 | ||||
BMI | 男 | 女 | ||
痩せ | <18.5 | 1.20 | 1.16 | |
正常 | 18.5 to<21.0 21.0 to<23.5 23.5 to<25 |
1.22 0.92 1.00 |
1.17 0.98 1.00 |
|
過体重 | 25.0 to<26.5 26.5 to<28.0 28.0 to<30.0 |
0.82 0.91 0.93 |
1.00 1.06 1.21 |
|
肥満 | 30 to<35.0 ≧35 |
0.94 1.24 |
1.12 1.38 |
男性では癌死の危険性が増すのは痩せBMI<18.5以下および正常低めBMI 18.5to<21.0まで、つまり、痩せ傾向で癌死が増すと判ります。
また、癌死リスクは肥満BMI≧35以上、つまりは、超肥満で増すのです。
逆に、癌死リスクが低下するのは、正常中位BMI 21.0to<23.5の範囲とチョイ肥満たる過体重BMI 25to<30.0の全範囲に加えて、肥満BMI 30to<35.0でした。
取り分け、癌死の危険が一番減るBMIは過体重の25.0to<26.5であることが判ります。
女性では、癌死の危険性が増すBMIは男性同様に痩せBMI<18.5,および正常低めBMI 18.5to<21.0範囲でした。
加えて、女性で癌死リスクが増すのは過体重BMI 28.0to<30.0および肥満BMI>30以上でした。
超肥満BMI≧35で女性の癌死危険は一番増加しました。
しかし、男性では、過体重BMI 25.0to<30.0で癌死リスクが低下するも、女性では過体重BMIでは低下することなく、逆にBMI 25.0to<30.0では増加傾向でした。
一方、癌死リスクが減少するのは正常中位BMI 21.0to<23.5で僅かに減少するのみでした。
しかし、女性では正常BMI 21.0to<25 および過体重BMI25.0to<28.0の範囲では、ほとんど癌死リスクは変わらないことを示しています。
以上より、男性では癌死亡リスクは痩せ傾向(BMI<21.0)と起肥満BMI≧35で増し、チョイ肥満の過体重から肥満(BMI25.0to<35.0)の太目の方が減るのだとなります。
女性では、痩せ傾向(BMI<21.0)とチョイ肥満BMI> 28.0および肥満BMI>30で癌死リスクは上昇傾向にありですが、他のBMIではあまり変わりなしです。
癌死の危険性は男女とも痩せと超肥満には要注意であり、男性では、チョイ肥満の過体重が安心と言えます。