文化講座
メタボリック症候群とは−6
メタボリック症候群の条件たる内臓脂肪蓄積による肥満は酸化的ストレスによって炎症を促進するような、前回も述べたように、アディポカインが問題となるのだ。
アディポカイン分泌異常は全身的な血管の炎症を誘発して、動脈硬化性疾患に連なることになるから危険なのだ。
つまり、酸化的ストレスを抑制して炎症を誘発させないことが老化の基本たる血管の動脈硬化性変化を予防する上に極めて重要なことだと判る。
酸化的ストレスによる炎症の誘発を予防するために、抗酸化物質の役割は重要となり、アディポカインの分泌異常を引き起こさないようにすることがポイントとなる。
そのために、中性脂肪、悪玉コレステロールのLDLコレステロール、高血圧、2型糖尿病のマーカーとしての空腹時血糖が大切な意味を持っているのだ。
但し、血中コレステロール値は診断基準には含まれておらず、参考値に過ぎない。
喫煙、糖尿病、高血圧、高脂血症がコンセンサスの得られる動脈硬化危険因子なのだ。
肥満による蓄積脂質の内で、白脂質組織(white adipose tissue)が悪玉サイトカインたるアディポカインのPAI-1を分泌して、善玉サイトカインたるアディポネクチン分泌を低下させることが問題となる。
善玉サイトカインと悪玉サイトカインのアンバランス、分泌異常になると全身的な血管の炎症に始まる動脈硬化性疾患発生のキーとなるから危険なのだ。
つまりは、その予防にとっては脂肪細胞によって分泌される悪玉サイトカインが誘発する酸化的ストレスと炎症を防禦することにあるのだ。
肥満にあって、内臓脂肪蓄積となる脂肪組織は単なるエネルギー蓄積組織ではなく、動脈硬化をコントロールするホルモンやファクターを分泌する器官となる。
肥満やダイエットで話題となるレプチンも、白脂肪細胞が分泌するホルモンなのだ。
レプチンは脳下垂体の食欲やエネルギーバランスを調節する中心のコントロールをする役割を持っている。
その他、高血圧、糖尿病や老化促進に関係したり、炎症や脂質代謝に関与する内分泌因子を脂肪組織が放出していることが判ってきた。
肥満に伴う内臓脂肪蓄積細胞が分泌する内分泌因子の研究が老化、動脈硬化の解明とその予防に重要な意味を持っているのだ。