文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性 その20
肥満と痩せの危険性・・12
前回からのT.Pischonらの論文からの続きです。
今回は、ヨーロッパの人達を対象としたBMI(Body Mass Index,体格指数)と関連する死亡リスクの増減を話題とします。
既に、K.M.Flegalらによる論文からアメリカにあってのBMIと死亡のリスク増減について取り上げました。
BMIがチョイ肥満の過体重BMI 25 to<30で死亡リスクが一番低くなると知りました。
今回のヨーロッパ9カ国を対象とした肥満、過体重、痩せと死亡リスクの比較にあっては、男女いずれもBMIがアメリカの論文にあるBMI<18.5の痩せ、BMI 18.5to<25の正常、BMI 25 to<30のチョイ肥満の過体重、BMI≧30による区分よりも、更に、細かいBMIの区分をしたデータが示されています。
BMIと男女の相対的死亡リスクの増減 | ||||
BMI | 男 | 女 | ||
痩せ | <18.5 | 2.86 | 1.96 | |
正常 | 18.5 to<21.0 21.0 to<23.5 23.5 to<25 |
1.64 1.04 1.00 |
1.27 1.01 1.00 |
|
過体重 | 25.0 to<26.5 26.5 to<28.0 28.0 to<30.0 |
0.90 0.95 1.09 |
1.01 1.08 1.19 |
|
肥満 | 30 to<35.0 ≧35 |
1.28 2.06 |
1.18 1.48 |
表のデータはBMI 23.5 to<25での死亡リスクを1.00として相対的死亡リスクを示しています。
男性の痩せBMI<18.5では正常の23.5to<25を1.00とした基準に対して死亡リスクが2.86倍となっていることを意味します。
また、正常BMI 18.5to<21.0では1.64倍となり、正常BMI範囲でも低値では死亡リスクが高くなると判ります。
つまり、痩せのBMI<18.5では死亡リスクが最高となり、正常範囲でもBMI 18.5to<21.0で高い傾向となり、BMIが21.0以下の低下は良くないと言うことです。
一方、チョイ肥満の過体重たるBMI 25 to<26.5では0.90、BMI 26.5to<28.0では0.95となり、正常BMI 23.5to<25よりも死亡リスクは減少すると判ります。
しかし、肥満ではBMI 30to<35.0で死亡リスクは上昇傾向となり、BMI≧35で2.06と正常BMI高めの23.5 to<25に比して2倍程の死亡リスクが増すことになるのです。
女性では痩せBMI<18.5で死亡リスクは高くなり1.96倍となり、男性同様肥満BMI以上は危険だとなります。
次に死亡リスクが高いのは肥満BMI≧35で1.48倍となるのです。
しかし、女性の場合は正常高めBMI 23.5to<25で死亡リスクは最低となり、チョイ肥満たる過体重BMI 25 to<28.0ではほぼ同様の死亡リスクにあります。
つまり、女性ではチョイ肥満でもあまり死亡リスクは変わらぬと言えます。
以上より、死亡リスクが低くなるBMIは男性ではBMI 21.0<30.0、女性ではBMI 21.0<28.0となり、死亡リスクが高くなるBMIは男女ともに痩せBMI<18.5で最も高くなり、次が肥満BMI≧35なのです。
つまりは、肥満より痩せが危険だとなります。