文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性 その19
肥満と痩せの危険性・・11
今回からT.Pischonらによって肥満、痩せと死亡リスクについてヨーロッパ9カ国(デンマーク、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、イギリス)の人達359,387人を対象とした免疫学的調査(大規模コホート研究)が行われ、国際的一流学術誌に発表された論文(General and Abdominal Adiposity and Risk in Europe, NEJM, 359, 2105-2120, 2008)からの紹介です。
この論文ではBMI(Body Mass Index 、体格指数)に加えて、腹部肥満の指標として腹囲とウエスト/ヒップ比が測定されています。
BMIと腹囲およびウエスト/ヒップ比の検討を加えると死亡リスク予測が向上するとのことでした。
我が国ではメタボリック症候群(メタボリックシンドローム)の判定基準は、測定法を含めて、問題のある腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)の基準値を必須として指標となっています。
最近の朝日新聞には、腹囲よりウエスト/身長比(腹囲÷身長)が0.5以上が要注意とのメタボリック症候群の新指標が取り上げられていました。
更なる問題は、我が国では腹囲といっても、国際基準とは別の測定法がなされているのです。
つまり、国際比較が困難な上に、国内的にも糖尿病領域では別の基準となっているのです。
野球で言えば、日本のプロ野球で用いられるボールはオリンピック、WBCでの野球で用いられているボールとは異なっているような差です。
ゴルフボールと同様に国際基準にする必要があります。
以上、何かと肥満、痩せの決め方も問題ありなのです。
今回は、まず、ヨーロッパでのBMIと死亡リスクとの関係の概略とします。
平均追跡期間は9.7年で、359,387人(25~70才)の内14,723人が死亡しました。
死亡リスクの一番少なかったBMIは男性25.3、女性24.3でした。
BMIと年令、喫煙の有無、死因別などについて、アメリカや日本より詳しいBMI区別との関係がまとめられていますので次回より取り上げます。