愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

健康ライフのためのサプリメント&代替医療

Dr.BEAUT・ソフィーリッチ代表
医学博士 山中 直樹

「高脂血症」改め「脂質異常症」:但し、コレステロール値は除外された

 前回述べましたが、高脂血症の代名詞の如くであった血中高コレステロール値は診断、治療的判断価値が不明となって、検査値としての診断基準から除外されてしまいました。
 日本動脈硬化学会がこの4月25日に変更したのです。
 改名後の脂質異常症の指針としての診断基準は、LDLコレステロール140㎎/dl以上、中性脂肪150㎎/dl以上、HDLコレステロール40㎎/dl未満の場合となったのです。
 つまり、国民的な"高コレステロール病"は消滅したことになります。
 この変更に大きな影響を与えたのは、J-LIT研究の成績結果にあると思います。
 J-LIT研究とは2002年に結果が報告された、日本で6年間に及ぶ5万人以上の患者数を対象にした疫学的コホート試験の大規模臨床試験です。
 血中コレステロール値220㎎/dl以上高コレステロール患者にコレステロールを下げるスタチン系薬剤を投与して、心筋梗塞などの心血管病や死亡率を追跡したのです。
 高コレステロールに対して、スタチン系薬剤投与によってコレステロール値を下げれば、心筋梗塞やその他の疾患も含めて、死亡率が減ると期待した研究だったのです。
 その期待は裏切られた結果となりました。
  心筋梗塞だけの死亡率ではコレステロール値が200~219㎎/dlで最低でした。
 我が国では、心筋梗塞死者数は欧米に比して少ないために、全体の死者数には影響が少なく、全ての死因を含めた死者数が最低となったのは220~239㎎/dlの範囲でした。
 しかし、有意差があるほどではなく、血中コレステロール値が200~279㎎/dlの範囲では、殆ど死亡率には差が無かったのです。
 コレステロール値280㎎/dl以上になって始めて、死亡率の増加を認めたのです。
 年間千人当たりの死亡者数と血中コレステロール値の関係は次のようでした。
コレステロール値180㎎/dl以下ではガン、脳出血などが増加して8人ほど。
220~239㎎/dlでは3.0人ほど、200~279㎎/dlの範囲では3.2人ほど。
280㎎/dl以上では5.9人ほど。
 しかし、血中コレステロール値が280㎎/dl以上となる人は我が国の20才以上では2~3%に過ぎませんが、180㎎/dl以下20~30%10倍ほど多いのです。
 以上より、低コレステロールの方が、危険で高コレステロールより死亡者数死亡率が著しく高いのだと判ります。

健康ライフのためのサプリメント&代替医療
このページの一番上へ