文化講座
コレステロール180㎎/dl以下、LDL-コレステロール100㎎/dl以下の危険性 その30
肥満と痩せの危険性・・22
―BMIと5年以内の男女別死亡リスク―
T.Pischonの論文からの続きです。
今回は5年以内に死亡する危険性の増減(5年以内の死亡リスクの増減)とBMIとの関係を男女別で比較して取り上げます。
5年以内に死亡するリスクの増減はBMI 23.5to<25.0にあっての死亡リスクを1.00として、それぞれのBMIでの男女別相対的リスクとして示します(値が1.00以下で死亡リスクの低下、1.00以上でリスクの増加を意味する)。
BMIと5年以内に死亡する 男女別相対的リスク |
||||
BMI | 男性 | 女性 | ||
痩せ | <18.5 | 3.08 | 1.69 | |
正常 | 18.5 to<21.0 21.0 to<23.5 23.5 to<25.0 |
1.29 1.02 1.00 |
1.15 0.96 1.00 |
|
過体重 (チョイ肥満) |
25.0 to<26.5 26.5 to<28.0 28.0 to<30.0 |
0.84 0.93 1.06 |
1.04 1.06 1.16 |
|
肥満 | 30.0to<35 ≧35 |
1.16 1.71 |
1.24 1.66 |
・痩せBMI<18.5
痩せBMI<18.5以下の死亡リスクは男性がおよそ3倍、女性では2倍近く増加します。
・正常BMI(BMI18.5to<25.0)
正常低めBMI 18.5to<21.0では、男性で3割、女性で2割程の死亡リスク増加の危険があります。
・過体重(チョイ肥満)BMI(BMI 25.0<30.0)
チョイ肥満BMIの男性では死亡リスクは減少。
BMI 25.0to<26.5で2割、BMI 26.5to<28.0では1割くらいの減少です。
女性のBMI 25.0to<28.0の範囲ではあまり死亡リスクに変化がないようです。
しかし、BMI 28.0to<30.0のチョイ肥満度が増加すると男性とは異なって女性では死亡リスクは増加傾向になります。
・肥満BMI(BMI30.0<)
肥満BMI 30.0to<では男女とも死亡リスクは増加傾向となり、≧35.0となれば男女ともに7割ほどの死亡リスクの増加となります。
以上より、男女とも5年以内の死亡リスクを高めないためにはBMIは21.0以下の痩せとはならないことです。
また、男性ではBMI30.0以上の肥満、女性ではBMI 28.0以上のチョイ肥満は好ましくありません。
女性では男性同様、痩せBMI 18.5と超肥満BMI≧35.0で死亡リスクが高まります。
最も望ましいBMIは男性ではチョイ肥満の過体重BMI 25.0~28.0、女性では正常BMI 21.0to<23.5です。