文化講座
心筋梗塞既往と心血管死亡:コレステロール180㎎/dl以下、LDL−コレステロール100㎎/dl以下とする危険性・その2
今回は、大櫛グループによる『コレステロール治療ガイドライン2006.03』(大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」・太田出版)の紹介です。
その概略は以下の如くです。
・ 心筋梗塞などの発症低リスク者のコレステロール低下薬の服用を検討すべき値
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20~24 | 220以上 | 220以上 |
25~29 | 230以上 | 230以上 |
30~34 | 240以上 | 240以上 |
35~39 | 250以上 | 250以上 |
40~44 | 260以上 | 260以上 |
45~49 | 260以上 | 270以上 |
50歳以上 | 260以上 | 280以上 |
注:「男女とも、血中総コレステロール値は、180㎎/dl以下にしないこと」
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20~24 | 140以上 | 140以上 |
25~29 | 150以上 | 149以上 |
30~34 | 160以上 | 157以上 |
35~39 | 170以上 | 166以上 |
40~44 | 180以上 | 174以上 |
45~49 | 180以上 | 183以上 |
50歳以上 | 180以上 | 190以上 |
注:「男女ともに、LDL-コレステロール値は、100㎎/dl以下にしないこと」
・ 糖尿病患者での適正コレステロール値
男性 | 女性 | |
非喫煙者 | 180~260 | 180~280 |
喫煙者 | 180~235 | 180~280 |
男性 | 女性 | |
非喫煙者 | 100~180 | 100~190 |
喫煙者 | 100~160 | 100~190 |
注:「男女とも、血中総コレステロール値180㎎/dl以下にしない、LDL-コレステロール値は100㎎/dl以下にしないこと」
・ 虚血性心疾患既往と家族性高コレステロール血症のある人の基準範囲
「出来るだけ、総コレステロール値とLDL-コレステロール値を下げることが望ましい」とありますが、「コレステロール値を180㎎/dl以下、LDL-コレステロール値を100㎎/dl以下にしてはいけません」とあります。
以上、大櫛グループによる『コレステロール治療ガイドライン』では、性別、年齢階層別とリスク別に基準値を設定しています。
第一のポイントは、例えば、心筋梗塞既往などの虚血性心疾患があっても、血中総コレステロール値は180㎎/dl以下、LDL-コレステロール値は100㎎/dl以下にしないこと
第二は、更年期前後以後の女性は高いコレステロール値でも治療の必要な人は少ないこと
第三は、低コレステロール値(180㎎/dl以下)、低LDL-コレステロール値(100㎎/dl以下)の危険性が設定されていること