文化講座
臨床喫茶学:40
健康寿命&平和寿命を延ばすスキ茶寄合-9-
和食文化と喫茶・茶の湯―2
和食文化の伝統は日本列島に"日本人"の先祖が定住生活を開始した縄文時代から始まります。
既に縄文時代にはアメリカ新大陸原産の食材以外はほゞ日本列島に伝わっていました。
つまりは、東南アジア、中国・長江流域、インド・アフリカのサバンナ地域、地中海・ヨーロッパ地域、モンゴル・シベリア・アムール川や沿海州地域の旧大陸からです。
縄文時代は日本列島内や旧大陸全域との交流が盛んだったことになります。
亜熱帯アジア・照葉樹林帯地域は東南アジアから日本列島の南地域が含まれていますが、クリ、クルミ、トチなどの堅果類、ヤマイモ、ジネンジョなどの根菜類やアワなどの穀物類の多くが日本列島に伝わっています。
縄文晩期にはイネも伝わりました。
インド・アフリカのサバンナ地域からは米、麦以外の穀物、豆類などの雑穀類が伝来しました。
地中海・中近東からは小麦の伝来です。
ヨーロッパ、モンゴルの牧草地帯からは馬、豚、羊、牛などの家畜が渡来しています。
縄文時代の最大の特色は人類で最初の土器文化を築いたことです。
その土器を用いて煮炊きする料理文化の発祥地となりました。
また、縄文時代は、世界の他地域とは異なって農耕が始まる前に定住生活を始めたのです。
その理由は次のようです。
土器によって食材の煮炊きが可能となり、狩猟、漁労、採集を基として自然界の四季折折の多様な食べ物を確保して、人類最大の課題である飢餓の危険を回避した共同生活が可能となりました。
日本列島では水が豊富で、煮炊きによって食べられる食材が増えることに加えて、渋の強いドングリやトチなどの堅果類のアク抜き水晒し、根菜類(ヒガンバナの根)などがそのままでは毒性があって食べられない食材を食べられるように工夫したのです。
山野からはイノシシ、シカ、ウサギなどの動物、川や海からは魚介類を捕獲して動物性の食材を手に入れることが出来ました。
縄文土器の利用、アク抜き水晒しによって多種多様な食材を確保しての煮炊きは料理文化の発祥となったのです。
また、土器の作成は独創的な造形力と手を使い、こだわって工夫する職人力や美意識を発展させました。
その後の日本列島の特色発展に縄文時代が如何に重要かが判ります。