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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

臨床喫茶学:47

和食文化と喫茶・茶の湯―9

 和食文化の優れた原流は縄文時代にあると私は考えています。
 それ故に、私は「縄文レトロモダンの食生活スタイル」を基本としています。
 「縄文レトロモダンの食生活スタイル」は、なまもの、焼く、煮る、炒める、蒸す、醗酵させる、アク抜きや解毒などの調理法によって自然界から出来るだけ広く各種の魚介類を含む動植物食材を食べて、如何に人間が健康寿命&平和寿命を長く楽しむかにあります。
 なまもの調理は、200万年前の旧石器時代に狩猟漁撈採集民達が既に食べた文化であり、日本食にとってキーとなっている刺身料理として結実しています。
 ナイフ型石器は3万5000年前以降には製作されているのです。
 焼く調理は、人類が自然界の火災等で焼け残った動物や堅果類、雑穀、種子、根菜類など生では食べられない食材の拡大となり、美味しく、食べやすくなり栄養分の消化吸収効率もよく食べる文化の源となったのです。
 今日では動物や魚介類料理となってメインディッシュとして発展しています。
 煮る調理は縄文土器によって可能となった最も縄文時代の日本列島にとって源となる人間らしい食文化となった料理法。
 汁物、羹(あつもの)は一汁三菜の懐石や会席でも一番最初に食べるべき椀です。
 日本料理ではキーである出し汁で料理人の腕の見せ所となります。
 羹は、縄文時代に始まる茶を含む葉物調理の原点だと私は思っています。
 喫茶文化の始まりでもあったのです。
 縄文土器を用いた煮物は羹、出し汁から始まり、クリやクルミなどの堅果類や山芋などの根菜類を食べやすく、美味しく食べる料理への始まりになったのだと思います。
 魚介類、イノシシ、シカ、ウサギ、鳥類などを加えた煮物も縄文土器利用によって発展したのです。
 今日的には、日本料理の代表となっている鍋料理の原点ともなっています。
 蒸す調理法は縄文土器や編み籠やザルなどを用いて動植物を軟らかくするために鉄器利用以前から始まっていました。
 炒める調理は鉄器利用が普及してから本格的に始まった調理法で、縄文時代より弥生時代に発展したのです。
 醗酵調理は、アルコール飲料を始め既に縄文早期にアク抜きとともに発展したのです。
 醗酵技術によって、今日に及ぶ危険なフグの卵巣を食べる工夫までされました。
 縄文時代に始まった四季の産物の貯蔵蓄積法も発展したのです。
 鮒鮨に始まるスシ文化も食材を美味しく食べ、保存も出来る食材の有効利用を高める技術の文化的発展だと思います。

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