文化講座
臨床喫茶学:27
「ワンピース」の価値観と人間関係-9-
直心・一期一会の文化:3
喫茶・茶の湯は共食文化であり、心のつながりのある仲間の文化です。
利休は虚飾を削ぎ落とした極小空間で仲間と一汁一菜と喫茶を直心・一期一会の自然とも共鳴をしながら共食したのです。
「ワンピース」のウォーターセブンでルフィが「死のう」とする仲間のニコ・ロビンを救出するために恐怖のCP9諜報部員のリーダーであるロブ・ルッチとの最後の戦いの前のシーン。
ロビンは仲間と思う麦わら一味の命を救うために自らCP9に捕えられて死への道を選びました。
しかし、ルフィは「同情なんかで命をかけるか!」とロビンに向かって「生きたいと言え!」と直心の意思表示を迫りました。
麦わら一味の仲間であることは仲間の危機には命をかけることを意味します。
仲間と思うロビンが命を捨てて自分達が助かるのは仲間として許すことは出来ないルフィ一味の掟です。
ルフィはロビンが一味を救うとする"同情"ではなく、「生きたい!」と自分の気持ちに直心であることを求めたのです。
ロビンは「生きたい!」と叫びました。
ルフィはニマリと笑って喜んで最後の戦いに挑みます。
ルフィ達は「立場によって変わるような正義」はどうでもよいのです。
「だからどうした!」に過ぎません。
仲間の窮地には善悪を超え、命をかけて助けるを「仲間の正義」としています。
麦わら一味は命をかけて助けあうことを如何なる"正義"とも戦う仲間と思う契りとしているのです。
しかし、ルフィ達には戦って相手を倒しても命を奪うことはない「正義」を守ります。
仲間や敵であっても殺さないことはルフィ達の命を大切にする「逆転しない正義」なのです。
「星の王子さま」のサン=テグジュペリ、「夜と霧」のフランクルと共通する生きる道があると思います。
「ワンピース」の著者・尾田栄一郎が継承しているのです。
喫茶・茶の湯の共食文化が忘れてはならない人の命は如何なる理由によっても奪わない逆転しない「正義」だと思います。
しかし、宇宙を含めた食物連鎖は「殺生」なしには生きることは出来ません。