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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

臨床喫茶学:37

健康寿命&平和寿命を延ばすスキ茶寄合-6-

「四十九日のレシピ」(伊吹有喜著)が11月9日にタナダユキ監督、永作博美主演で全国で公開されました。
 タナダユキ監督によりますと「"助けたり助けられたり"という人間関係は必ずしも家族じゃなくても成り立つ」との考えで作られた映画だとあります。
 主演の永作博美は「八日目の蝉」(角田光代著)の映画で名演していますが、そこでは子供と血縁とはが問題となっています。
 私は角田光代の大ファンですが、私達も日常生活で出くわすような人間の思いや心情などを取り上げており、生き方を考えさせられるからです。
 「ツリーハウス」では敗戦後の日本に帰って中華料理店を営む祖父母が戦前に渡った満州で戦争の被害者でもある無縁の満州人が助けて生活や命の危険が救われたのです。
 しかし、敗戦で命からがら引き上げてきた郷里では家族の冷たい反応を受けました。
 つまり、困った時に郷里や血縁よりも無縁の他人や外国人が自らにも危険があり苦しくとも救いの手を差し伸べているのです。
 尾田栄一郎著の「ワンピース」の麦わら一味は、それぞれが悲劇的な環境から立ち上がった主客直心の宴が好きな「共食共生」の仲間であり血縁関係のまるでないタテではなくヨコの関係によって成り立っています。
 超国家的な一味で仲間の危険に命をかけて助けあう無縁者が集まる仲間集団です。
 姜尚中・是枝裕和(NHK・スイッチインタビュー)にあっては国家のコアとなっている家族が多様になっていると指摘しています。
 つまり、超国家の地域、仕事、宗教、民族、血縁、家族などと多様な繋がりの場に郷土・パトリを求めるのです。
 わが日本列島の本格的な始まりである縄文社会は妻問婚(ツマドイコン)の母系制社会でした。
 1万年以上に及ぶ平和な縄文時代では、弥生時代以後に始まるような殺人、争い、戦いの遺跡は見つからない平和な時代。
 妻間婚では女性が産んだ子供は男性にとっては誰の子供か判らない、つまり認知が出来なかったのです。
 女性は自分が産んだ子供の父親が誰であれ、自分の子供であり、分け隔てなく小集落協同社会で育てたのです。
 その小集落社会は閉鎖的ではなく、日本列島や大陸に広がる交流をしながら炉を囲む平和なヨコ社会を築いていたのです。
 私が目指すスキ茶寄合は縄文時代のような平和でヨコ社会であり、「和せず長らえる」直心の繋がりの場としたいのです。

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