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インターネット公開文化講座

文化講座

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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

臨床喫茶学:28

「ワンピース」の価値観と人間関係-10-

直心・一期一会の文化:4

 「ワンピース」のウォーターセブンで麦わら一味となったニコ・ロビンは子供の頃に悲劇的な経験をしています。
 "正義"を唱える海軍や海軍のCP9諜報部員によって故郷は肉親のみならず全滅されました。
 ロビンだけは巨人サウロの救済によって一人生き延びることが出来たのです。
 しかし、その後のロビンは人々の差別と排除に苦しみながら時に人を犠牲にして惨憺たる局面を乗り越えて生き延びました。
 生きる希望は母親たちが追求した人類の隠れた遺跡の探求でした。
 加えて、サウロの今わの言葉です。
 「この世に生まれて、一人と言うことはない。仲間がいないと言うことはない!海のどこかにいる仲間に会いに行け!」
 「苦しい時は笑ったらええー!」
 ロビンは、麦わら一味には心を開くことが出来るようになったのです。
 ロビンは仲間を裏切り、仲間の命を犠牲にしても自分だけが生き延びてきたのですが、しかし、麦わら一味の命を救うためには自らが死への道を選ぶ心となったのです。
 麦わら一味は、共食、共利共生のために仲間の危機には命をかけます。
 そして、一人一人は自分が世界一となるを追求する道を持った一匹狼集団です。
 血のつながりのない子供たちを育てる"母"がゾロに向って「血のつながりが何だって言うんだ!」とのシーンがあります。
 作家・内田百閒は、シュークリーム好きで知られますが、血のつながりのない祖母が貧しいにもかかわらず、シュークリームを買ってくれていたことを後で知って大切なのは「血のつながり」ではないとしています。
 共食&共利共生文化である喫茶・茶の湯は直心・一期一会の心のつながりのある仲間文化であることを忘れてはなりません。
 通俗的な人間関係や表面的な"絆"に縛られて、しなやかで自由な心が奪われるような"仲間内のしばりあい"に落ち込んでルサンチマンになってはなりません。

信天翁喫茶ワールド
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