文化講座
臨床喫茶学:31
スキ茶寄合―1―
スキは好き・数奇
喫茶・茶の湯は共食共生の文化であり、日本的な生活総合文化として発展しました。
喫茶文化には茶道のような「正史」はよく知られています。
しかし、民情の生活に活きた「稗史(ハイシ)の茶」があることを忘れてはなりません。
常民の生活者が育んだ茶文化です。
私は民情の喫茶・茶の湯史を大切にしていますが、残念ながら「正史」のような資料は「稗史」には多くは残っていません。
日本人的な真面目、繊細、笑い、自然と共生するやつしの文化だと思います。
民情喫茶・茶の湯に信天翁流の「スキ茶寄合」を楽しみ「スキ・好き・数奇」を求めています。
正史の喫茶・茶の湯である茶道や煎茶道は江戸時代に成立した家元制を中心として今日に続いてるハイカルチャーと言えます。
多くの人達が日本の伝統文化として取り上げます。
しかし、家元制による茶道や煎茶道だけが喫茶・茶の湯文化ではありません。
多様で重層的な生活文化として、常民日本人や外国にあっても人と人が集まって喫茶を楽しむ生活文化があるのです。
喫茶文化は共食共生をキーとして、日本人が八百万(ヤオヨロズ)の多様な価値観を大切にして自然を崇拝・畏敬する心につながっていると思います、
人は一人で生きるのは厳しく、飲食が不可欠です。
人は自然との共食共生によって生きられるのです。
自然との殺生を含む共生バランスによって成り立っています。
それ故に、生きるための共食共生の営みが喫茶・茶の湯文化文明の源泉とした日常生活文化だとなります。
その共食共生文化が私にとっては「スキ茶寄合」なのです。
スキは好き、数奇を意味します。
私のスキ茶寄合は共食共生のために人間味ある風狂風雅清雅を大切にしています。
他者との目線を同じにしたオープンで直心を何より大切にしなければなりません。
自分らしく生きるために、如何なる状況にあっても日常心を忘れることなく、「笑いや自然を忘れず、美意識を持って心豊かさある真面目に生きる」のです。