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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

信天翁喫茶で自活力を育む!!・・1

ワビ・サビ喫茶は削ぎ落としの生き方文化

我が国は太平洋戦争後の右肩上がりの時代までは国民の大部分が横並び的中流社会を構成した生活を楽しんで来ました。
しかし、バブル社会は弾けて、市場経済主義や金融資本主義がITや科学技術の進歩によって加速、国境なきグローバルな競争社会に瞬く間に日本社会が組み込まれました。
そして、発展途上国の追い上げに個人個人が激しい競争社会に煽られて不安な毎日を過ごしています。

今日の茶の湯文化は抹茶法が鎌倉時代に栄西によって伝わり発展しました。
室町時代の末期、不安と動乱の下剋上時代の応仁文明の乱から戦国時代になると漢文化中心から和文化の取り込みが始まり、足利義政を中心とした東山文化時代にワビ茶の始祖・村田珠光らが備前焼などの和の茶碗を「和漢の界を紛らかす」として茶の湯に用い始めたのです。
続いて皮屋で連歌師・歌人の武野紹鷗によって、積極的な和風化が進められ、和歌の世界の掛物まで取り込んでワビ・サビ喫茶・茶の湯の元祖となりました。
弟子の魚屋・利休は和物の利用や見立てのみならず、自らデザインして、朝鮮にまで発注して、今日的に言えば、創造的で前衛的なワビ・サビの茶の湯文化を追求しました。
喫茶・茶の湯をキーとして、今日に及ぶ生活総合文化がワビ・サビ文化として結実したのです。
ワビ・サビ文化は、西欧的な煽り文化ではなくその発展過程で人間が必要にして不可欠とは何かを求める鎮め文化です。
余分なものは出来る限り削ぎ落として、貴賎貧富や権力を超えた人間的で心豊かな生活や人間関係です。
その結果として、貴賎貧富を越えて集い、生活空間として最小限のやつした草庵で一汁三菜を食し、一碗の茶を単純化した道具と振る舞いによって喫したのです。
陰陽曲天割(カネワリ)の美意識による、道具配置と点前の所作が美的用と体に優しい理に適った日常生活モデルを追求したのです。
ワビ・サビの心は「足らざるに満足し、慎み深く行動しながら心静かな雅の心を持つ風流の趣の心(閑静で雅趣・雅致のある心)」です。
「慎み深さ」は煽るのではなく、足らざるに満足して必要不可欠を求める、西欧的プラス思考に対して、マイナスの思考となる鎮めの文化です。
雅趣・雅致のある心の豊かさと人間関係を忘れてはならない鎮めの心です。
つまり、ワビ・サビは鎮めの文化で、風雅ある生きている実感を削ぎ落としによる純化をしながら自活力を育成するのだと判ります。
否俗を求めるのではなく非俗で閉鎖した社会に隠ることなく自活力を育む文化なのです。
兵法者・宮本武蔵や大リーガー・イチローのように一人一人が自分を活かす生きる力を身につけながら支え合う文化です。

信天翁喫茶ワールド
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