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インターネット公開文化講座

文化講座

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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

臨床喫茶学:29

「ワンピース」の価値観と人間関係-11-

直心・一期一会の文化:5

 「ワンピース」のインペルダウンでカマバッカ王国のエンポリオ・イワンコフ(イワチャン)が毒を浴びせられて瀕死状態のルフィの救出を願うボン・クレー(ボンチャン)に次のように言います。
 「命をなめるんじゃない!他人にすがりついているバカを救えたことはない!生きる気力、奇跡はあきらめないヤツの頭上にしか降りてこない!」
 ルフィが仲間の麦わら一味を救うために身代わりとして死のうとするニコ・ロビンに向って「生きたいと言え!」との場面は既に取りあげました。
 ロビン自らが「生きたい!」との意思を必要条件としています。
 イワチャンがボンチャンに「ルフィ自身が生きようとしているかがキーだ」と指摘していることと同じです。
 周りの人達が幾ら助けようとしても、自らが「生きたい」との強い意志を持っていなければならないのです。
 既に取り上げた如くゾロの言う「助け合って、かばい合って何かごまかして」生きるのではなく、フランクル(「夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録」)が「生きる意欲」、「あきらめない心」をもって「人間の最後の自由:生きることをあきらめない!」でなければなりません。
 「運命は天下の贈物・未来を信ずる絶望の中の希望・極限の笑・心の豊かさ」が極限状態でのキーとなります。
 命がある限りはいかなる状況であれ「それでも人生にイエスと言う」を持ち続けるのです。
 喫茶・茶の湯は応仁文明の乱(1467~77年)で戦乱の巷となった時代に発展しました。
 誰が敵か味方か判らない相互不信と命の危険にさらされた時代です。
 共食と自然も含めた共生を求めて生きる文化なのです。
 独坐観念を大切にして、独立自尊と必要不可欠を基として、サン=テグジュペリが言うように「自分以外に人や物を愛おしむ気持ち」「肝腎なことは目には見えない」の心を持つのです。

 「人間という存在の本質は、自分でない誰か、自分でない何かとのつながりによって生きる力を持っている」ことを忘れてはならないのです。
 共食共生に生きる喜びです。

信天翁喫茶ワールド
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