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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

臨床喫茶学:48

和食文化と喫茶・茶の湯―10

 人類は火を使うことによって、食べられる動植物が増えて吸収できる「栄養分」も広がり、食べ物を軟らかくしたり、美味しく"料理"出来るようになりました。
 二足歩行動植物食材から効果的栄養分摂取となり知恵の大脳が大きくなりました。
 石器や土偶を作り使うようになり、いろいろな食材を混ぜた"料理"を工夫してますます有効な食生活が出来るようになったのです。
 日本列島に広がった縄文時代は旧石器時代の氷河が溶けた新石器時代が始まって海や河からの漁撈も進歩させて海獣や大きな魚まで捕まえる遠洋漁業技術も進歩させました。
 植物は葉のみならずクリやクルミなどの堅果類、ヒエなどの雑穀や山芋などと根菜も食べたのです。
季節による植物の実りを知るようになって貯蔵するようにもなっています。
 トチの実などは渋抜き法を開発して食べられる食材を広げました。
 そうした時代では自然界からの採集のみならず集落の周りには、例えば、クリの木でも大きな実を沢山に実のらせる木を選んで植える半農耕を始めたのです。
 また、野性のブドウを発酵させてアルコール飲料まで工夫開発しました。
 そうした時代以来、料理は自然界からの動植物の食べられる範囲を広げ、栄養成分の豊かな食材を農耕や牧畜として発展する原点が縄文時代に始まったと判ります。
 季節の変化を知ることが大切となり自然界の時間による流転を予測したり、感謝の祈りを石の配置によって、つまり、環状列石の遺跡を今日に残しています。
 環状列石によって季節の変化を太陽の位置によって夏至、冬至などを予測したり、石とその影によって一日の時間を知るようになっています。
 しかし、産業革命以後になると、米、小麦、砂糖が純度の高い、つまり、白米、精白小麦、精製砂糖が普及するようになりました。
 日本列島では敗戦後の経済発展によって大部分の人達がそうした食材中心の食生活に変わってしまったのです。
 品種改良と温室などの人工環境下による動植物の育成が盛んになりました。
 更に近年は食品化学工業の著しい進歩によって醤油、マヨネーズなどと化学合成物質によって、従来とは全く異なった方法で食品を開発するようになっています。
低価格化商品を開発するために多くの添加物を加えて味を作り、従来なら商品にしなかった食材利用法や保存法を変えました。
 消費者たちが見たら食べる気がしないような食材を美しい食材に変える方法を開発して製造された日常食材が広く普及しています。

信天翁喫茶ワールド
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