文化講座
幸せになる健康栄養食を食べるには―「自然食材から超加工食品まで」・・6
最近、アメリカ文化研究者の鈴木透によって「食の実験場アメリカ ファーストフード帝国のゆくえ」(中公新書)が出版されてアメリカの食文化の特長がよく判ります。
移民による先住民(Indigenous people)食文化の取り入れ、多様な母国の食や奴隷として強制的に連れてこられたアフリカンとの複合的な混合や混成による、建国以来の食文化の変遷を取り上げています。
国際社会の栄枯盛衰、産業革命による社会の変革、モータリゼーションと生活様式、生命科学やIT革命によって食や生活スタイルは大きく移り変わりました。
それに伴って食文化と人々との関係、つながりも大きく変わっています。
資本主義、利益を追求して金銭が支配する社会構造となって農業や食材、食品生産も消費者が食や運動よりも仕事や生活スタイルを優先する価値観を持つようになりました。
効率とコストが偏重される食スタイルの社会と日常習慣になっています。
そうした状況にあって現在は第四次産業革命によって人間の役割は抜本的に変わり、人類史上経験しなかったような食生活、仕事や生活スタイルとなり激変します。
我が国では一万六千年以上前からの食文化が社会の変化とともに発展してきました。
明治時代からは西欧文化が流れ込んで、今や伝統文化よりアメリカ化が価値があるかのように優先された食文化が進んでいます。
アメリカで1970年代から発展普及が著しいファーストフードが日本にも乱入、日本食文化の退化が続いてきました。
アメリカの町やハイウェーで見かける定番的なマクドナルド、ケンタッキーフライドチキンのKFC、飲食店やスーパーなどが普及しています。
続いてスターバックスのようなコーヒーショップが乱立しています。
日本では国内発のラーメン店、牛丼店などとファストフードが氾濫しています。
一方で、ファミリーレストランなどの簡便で安い飲食店は今や下火となり、コンビニ、フードトラック、スーパーのレディメイド食品や食材など、多くの人達の食を満たすような店舗が身近に展開されています。
ジャンクフードや添加物多用の食品が氾濫して肥満や健康障害の原因ともなっています。
新たな超加工食品、遺伝子編集や再生細胞由来に加えて動物の肉ではない植物からの肉などの新しい"モドキ"ハンバーガー店などが人々の食べ物として普及してきました。
食の喜びが身体の健康や人間的なソール、「麦わらの一味(ONE PIECE)」的な楽しさなどは、今後はどのように変わるのでしょうか?
今や、食と環境、自然との関係が持続可能であるか大きな問題なのです。