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インターネット公開文化講座

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頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

幸せになる健康栄養食を食べるには-エピジェネティック(遺伝子調節)茶の湯・Epigenetic Way of Tea・・8 日常茶飯のリアルand/orバーチャル茶の湯-6 IT革命とコロナ過で変わる社会と茶の湯

 IT革命によってリモート(遠隔)な人間関係が可能になりました。
 お陰でカナダの孫たちとも自由に親しく顔を見ながらの会話を楽しむことが出来ます。
 一方では、コロナ禍やウィズコロナ(コロナ禍と共に、With Corona)によって人間関係の日常となっていた三密(密接、密集、密閉)と自由な個人に戻れる人間関係、時間、開放感、場所などの文化・文明を問い直さなければならなくなりました。
 コロナ禍によって『音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日』(岡田暁生著)が問題となっています。
 しかしながら、最近は「夜好性音楽」が人気となっていますが、緊急事態宣言下でも、夜がくれば開放感を求めて「夜の街」へ繰り出してくる若者の思いがあるのです。
 デジタルネイティブであるZ世代にとってもリモートではなく三密の可能性が強い「夜の街」が魅力となっている事実をしめしていると思います。
 私のようなサイレントジェネレーション・Silent Generationと呼ばれるようなIT技術とは疎遠に育った世代にとっては、三密のような人間関係の絆を持つ関係が許されないことは重いことになります。
 今までの人間関係の価値観の変換を迫られるようです。
 しかし、若者のように夜好性音楽を求める自由な個人に戻ることは容易ではありません。

 幸福感あるWellbeingなエピジェネティック(遺伝子調節)に影響しそうな茶の湯で人間関係を考えてみましょう。
 茶の湯、特に、最も人間関係の密が大切な四畳半以下の小間の茶会は通常ではコロナ禍で禁忌となります。
 しかし、若者たちのように、例えば、夜好性音楽を求めて夜に外出できないから工夫が必要です。
 私は最小な茶室と言われる二畳半の茶室で茶会を開くのは可能だと思います。
 1m50cm以上離れてお互いが坐り、窓はすべて開いて自然に開放された茶室で3人による茶会は難しいことではありません。
 逆に言えば、人間関係の信頼と絆が大切な茶会に集まって、私が茶の湯にとって最も大切だと思っている点前をする亭主も含めた一碗を回し飲む茶会を開くのです。
 コロナ感染の可能性が高くなる一つの茶碗を回して全員がお互いに喫茶する茶会!!
 小間ではありませんが、文化度の高い人間味あふれる茶会の歴史もあります。
 今も横浜にある当時は原三溪の私邸で恒例となっていた朝茶・茶会を三溪の跡取りとして有能な45歳の若さで亡くなった長男の急死直後に悲しみの極みで三溪が開いた「浄土飯の茶会」があります。
 三溪は如何に悲しくても中止せず、言葉で語ることなく、自分自身の気持ちあふれる茶の湯が内包する言葉以上に語る文化・文明だと思います。

 私にとっては原三溪のような茶会や亭主も含めた回し飲みをするような茶会がリモートエピジェネティック茶会として可能となるかが重要な課題となっています。

頤医の「かて食」&「かて茶」ワールド
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