文化講座
幸せになる健康栄養食を食べるには-ニュートリゲノミクス(分子栄養学)テーラーメイド栄養学とニュートリゲノミクス・・5 肥満とテーラーメイド栄養学・・2
肥満に対してテーラーメイド栄養として問題となるのは白色脂肪組織にマクロファージ(食細胞)が浸潤することです。
肥満で増加する内臓脂肪組織の主細胞である脂肪細胞とマクロファージとの相互作用はメタボリック症候群と深い関係にあります。
肥満を予防するために大切なコトは食事と運動が生活習慣の基本となることです。
私は加えて、ストレスのコントロールが重要であり、一人ひとりが納得した生き方を選ぶことが大切だと思います。
遺伝子変異やエピジェネティクスによる遺伝子調節との関係も肥満に大きな影響があるのです。
それ故に、テーラーメイドのニュートリゲノミクスに注意しなければなりません。
肥満と関係する単一遺伝子の変異が知られています。
食事・摂食によって血糖値が上昇すると正常な白色脂肪細胞は「レプチン」というホルモンを分泌します。
レプチンは脳の中枢神経系の視床下部というところを刺激して摂食を抑制したり、エネルギー消費を増加させることにより肥満予防になりますから大切です。
しかし、レプチン遺伝子やレプチン受容遺伝子に単一遺伝子の変異が生じることがあり、注意が必要です。
その変異によって摂食してもレプチンは分泌されるが前述のような中枢神経系からの摂食抑制が出来なくなってしまいます。
摂食障害のある人で、レプチンの遺伝子変異やレプチン受容体の遺伝子多型が起こっている場合があることが判っています。
レプチン遺伝子に異常があると食べる量を増してもレプチンシグナルによって中枢神経からの刺激で食事を抑制することが出来なくなってしまうのです。
その結果、食事を摂っても空腹感は収まらないために食べ続けて、摂食量が増す過食となってしまいます。
つまりは、肥満となってしまうのです。
前回取り上げた食べ物が少ない太古から人間が備えている倹約遺伝子と呼ぶ食べたエネルギーを効率よく蓄積する遺伝子があるからです。
今日のような飽食の時代では蓄積過剰となり肥満の原因となる遺伝子です。
倹約遺伝子変異としてβ3アドレナリン受容体やミトコンドリアの脱共役タンパク質の変異などが知られています。
いずれも脂肪を消費する善玉脂肪細胞と言える褐色脂肪細胞組織のエネルギー産生、消費による熱の産生が増すことになれば肥満抑制となり、逆に褐色脂肪細胞が少なくなれば肥満が起こりやすい体質となるのです。
摂食障害のある人で摂食しても改善が見られなければ遺伝子異常がないかと検討する検査が必要となります。