愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第28回:「レンコン」について学びます

前シリーズでは、「世界の長寿食」というテーマで、世界各地の人々は健康を維持するために何を食べてきたのかという背景を探りつつ、それらの料理を日本でも手に入る食材を使ったレシピで紹介したり、含まれる栄養素の効能についてもお伝えしてまいりました。
今シリーズでは、料理研究歴50年が経過した筆者が旬の食材を中心に取り上げ、家庭で作れる基礎レシピだけでなく、日本で食べられている世界各地のおいしい料理やデザートなどもご紹介しております。それぞれの食材が持つ栄養素や美しい盛り付けのコツ・食材にまつわる「おもしろ話」・食事マナーなどについてもご紹介しております。

第28回目のテーマは、「レンコン」

「泥中之蓮(でいちゅうのはす)」とは、仏教経典などに由来し、煩悩や苦しみの多い苦悩の中(泥)であっても、それに染まらずに清らかに正しく生きる人の心や存在を讃えた言葉で、料理研究家である私が最も目標とする言葉です。そしてその蓮の根っこである「レンコン」は穴が開いているので、先の見通しが良いという縁起ものでもあることから、熱狂的に好きな食材のひとつでもあります。

レンコンを使った料理のご紹介

*このページ内の料理写真は、すべて伊藤華づ枝が作成・撮影したものです


レンコン入り根菜カレー


秋鮭とレンコンのかやくおにぎり


和風レンコンハンバーグ


レンコンフライ


レンコンのはさみ焼き~山椒風味~


筑前煮


エビとレンコンの羽つきギョーザ


レンコン団子


納豆とレンコンのひとくちお好み焼き


レンコンの梅おかか和え


菜の花とレンコンのお浸し
~辛子風味~

 

代表的なレシピをご紹介します

豚肉とレンコンの甘みそ炒め

豚肉とレンコンの甘みそ炒め

材料 4人分
豚肩ロース肉(薄切り) 200g
  酒 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
レンコン(皮つき) 正味400~450g
赤パプリカ 1/4コ
万能ねぎ 10本分
しょうが(小角薄切り) 中1かけ
白ねぎ(粗みじん切り) 15cm
炒め油 大さじ1
ごま油 大さじ1
A オイスターソース 大さじ2
甜$9EB5$91AC 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
酒 大さじ1
みりん 大さじ1

作り方

  1. 豚肉は3~5cmのザク切りにし、酒としょうゆで下味をつけます。
  2. レンコンは皮を剥いてから、半月の薄切りにします。
  3. 2.を熱湯に入れて沸騰後1分前後をメドに茹で、ザルに上げます。※水にとりません
  4. 赤パプリカは短めの千切り、万能ねぎは5cmの長さに切ります。
  5. フライパンに炒め油とごま油を入れ、ぬるいうちにしょうがとねぎを入れて香りを出します。
  6. 5.に1.の豚肉とレンコンを入れて炒めます。
  7. 混ぜ合わせておいた(A)を6.に入れ、パプリカと万能ねぎも加えて炒め上げます。

ピリ辛レンコン

ピリ辛レンコン

材料 4人分
レンコン(土を落として) 600g
赤唐辛子(ぶつ切り) 適量
サラダ油 大さじ2
しょうが(みじん切り) 20g
A 酢 大さじ3
砂糖 ~大さじ2・1/2~
塩 小さじ2/3~3/4
白いりごま 少々

作り方

  1. レンコンを7~8mm厚さの輪切りにし(半月切り可)、色よく水から12~15分程茹でます。
  2. 1.をボウルに入れ、その上に唐辛子をのせます。
  3. しょうがは汚い部分を削り取り、皮ごとみじん切りにします。
  4. フライパンで油をじんわりと熱し、3.を入れて香りを出します。
  5. 2.の上に、(A)を入れ、4.をかけて和えます。

レンコンにまつわるおもしろ話

  • レンコンは「蓮(ハス)」の地下茎です。ハスは仏教において「極楽浄土に咲く、最も神聖な花」とされていて、その清らかなイメージがだれもの憧れとなっているように感じます。
    私は趣味で、SNSを使ってミニドラマを書いています。「居酒屋 華ちゃん」という小説で、約100本書きました。その私が特に好きな小説のひとつに、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」があります。冒頭は以下のように始まります。"ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池(はすいけ)のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊(ずい)からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。"
    何度読んでも、この小説の中の蓮の花の「気高さ」と、その後の展開に胸が躍ります。そうした影響もあってか、レンコンはひときわ好きな食材のひとつでもあります。
  • 漢字では「蓮の根(蓮根)」と書きますが、植物学的には根ではなく地下茎(ちかけい)」という茎の部分です。茎が栄養を蓄えて丸く太ったものなのです。本当の「根」は、レンコンの節からヒゲのように細く伸びているものです。
  • レンコンの特徴的な部分は何といってもあの「穴」でしょう。実はこれは人間に例えれば「鼻の穴」であり、気管支と同じような役割を持っているのです。
    レンコンが育つ泥の中には酸素がほとんどないため、水上の葉っぱから取り込んだ空気を、地中の茎(レンコン)まで届けるための「空気の通り道」とも言えます。
    そして、その穴の数は、だいたい「9個」と決まっています(一部異なるものもあります)。基本的には真ん中に1個、そのまわりに8個で合計9個です。

海外でも注目のレンコン

  • 近年、欧米ではラーメンや火鍋などのアジア料理が大ブームとなっていて、そのトッピングとしてレンコンが浮かべられていることがあり、「あのシャキシャキした車輪のようなものは何?」とSNSでも話題になっています。
  • 楽しい食感・低カロリーで食物繊維が豊富なので、海外の健康志向の人たちの間で「新感覚のヘルシー食材」として急速に知名度を上げています。
  • 地下茎のレンコンだけでなく、蓮の実も好まれる食材のひとつです。
    私は台湾によく行きますが、現地の「蓮の実おこわ」が大好きです。蓮の実のホクホクとした食感は忘れられないほどの美味です。日本では一般的に生の蓮の実は販売されていないので、現地の食品市場では蓮の実の取り出し方も習いました(写真参照)。


下の緑色の部分は、蓮の実が詰まっている「花托(かたく)」と呼ばれる部分です。左上の黄色いものが取り出した蓮の実です。


蓮の実から竹串で胚芽(蓮芯)を丁寧に取り出す筆者。取り出した蓮芯は乾燥させて煮出し、苦みのある蓮芯茶にして飲まれています。

  • 蓮の実の中心部分は苦味が強いですが、お茶として飲まれています。これも私の好みの味です。
  • 炊き込みご飯(蓮の実ごはん)、薬膳鍋、サラダ、お粥、スープなどに健康食材として使われます。
  • 蓮の実の「餡」や、甘納豆のように加工した「糖蓮子(トウレンシ)」もお土産に喜ばれます。


中国西安で食べたレンコンを模したギョーザ

  • ベトナムでは、ハスの実のチェーというぜんざいを、現地の料理研究家から学びました。


蓮の実のチェー
果物のライチの中心に蓮の実が入っています


ホーチミンの料理研究家イェン先生(右)と筆者
人気の花鍋を習いました

  • 実は戦国武士たちにもレンコンは愛されていました。武士たちは敵に城を囲まれたとき、一番の死活問題は「食料不足」でした。そこで武将たちは、水堀に蓮を植え、いざという時は泥の中からレンコンを掘り起こして非常食にするために栽培していたのです。レンコンは栄養価が高く、しかも「秋に実った後、春まで泥の中に放置しておいても腐らない」という保存性の高さを持っていたため、「兵糧」としたのです。

レンコンに含まれる栄養素と期待される健康効果

  • 意外と思われるかも知れませんが、レンコンに含まれるビタミンCは、ミカンの約1.5倍もあるのです。ジャガ芋と同様に、でんぷんに守られているため加熱しても壊れにくいという特徴があります。
  • そのビタミンCはコラーゲンの生成を促して皮膚の新陳代謝を活発にするので、シミや肌荒れを防いでくれます。ビタミンCは風邪予防・動脈硬化予防・糖尿病などの生活習慣病にも役立ちます。
  • 豊富に含まれる食物繊維は不溶性食物繊維が中心で、水溶性食物繊維のペクチンも含まれ、腸内環境を整えて便通を促します。
  • ポリフェノールの一種のタンニンは、体内の活性酸素を除去する働きを担います。生活習慣病の予防だけでなく、消炎作用や止血作用があり、のどの痛み・胃潰瘍などにも効果があります。タンニンはアレルギー症状を引き起こす物質を抑制する効果もあり、花粉症などの症状の緩和も期待できます。
    ※活性酸素は体内に侵入した細菌やウイルスを撃退する役割を持っています。しかし、増えすぎると健康な細胞まで攻撃してしまうため、老化やさまざまな病気の原因になりかねません。タンニンの抗酸化作用は、活性酸素を除去し老化防止にも効果があるといわれています。
  • レンコン特有のシャキシャキとした歯ごたえは食べ応えを高め、満足感にもつながります。毎日の副菜に取り入れると、無理なく腸内環境が整います。
  • ミネラルの一種であるカリウムは、足のむくみや血圧が気になる方に欠かせない栄養素のひとつです。レンコンはカリウムが豊富で、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する役割があります。
  • カリウムが不足すると、筋肉の動きが鈍くなったり、疲れやすくなったりする場合もあります。日常的に摂取すると体の水分バランスが適切に保たれ、体調が整います。
  • また、ナトリウムを多く摂取すると高血圧を引き起こしやすいため、味の濃い食事を好む家族がいる方や、足のむくみを感じやすい方は意識して摂りたい栄養素です。
  • レンコンは、溶け出したカリウムも逃さず摂取できる煮物やスープにするのが良いでしょう。
  • レンコンには血液を作るために重要な「鉄」と、その働きをサポートする「銅」が含まれています。
  • 鉄は全身へ酸素を運ぶ役割を担い、不足すると集中力の低下や立ちくらみを招く原因になります。とくに女性や成長期の子どもは不足しやすいため、意識的に摂取しましょう。
  • 銅は鉄とともに血を作る働きやエネルギー生成などに関わっています。レンコンには、ビタミンCも含まれるため、体内での鉄分の吸収率が高いのも特徴です。
    貧血は1日で改善する症状ではありません。レンコンを日々の副菜として取り入れる習慣が、家族の健康を守ることにつながります。

次号は「カニ」を予定しております

料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」
このページの一番上へ