文化講座
第9回:「卵」について学びます。
前シリーズでは、「世界の長寿食」というテーマで、世界各地の人々は健康を維持するために何を食べてきたのかという背景を探りつつ、それらの料理を日本でも手に入る食材を使ったレシピで紹介したり、含まれる栄養素の効能についてもお伝えしてまいりました。
今シリーズでは、料理研究歴50年が経過した筆者が旬の食材を中心に取り上げ、家庭で作れる基礎レシピだけでなく、日本で食べられている世界各地のおいしい料理やデザートなどもご紹介しております。それぞれの食材が持つ栄養素や美しい盛り付けのコツ・食材にまつわる「おもしろ話」・食事マナーなどについてもご紹介しております。
第9回目のテーマは、「卵」
一般的に卵と言えば鶏卵を指しますが、うずらの卵・アヒルの卵・ダチョウの卵などもあります。筆者はかつて、テレビ収録で「ダチョウの卵」を使った料理を披露したことがあります。びっくりするほど大きくて感動しましたが、特段においしいとは感じなかったです。何よりも殻が固くて割れないので困りました。
今回はお菓子にも料理にも大活躍する鶏卵とうずら卵について、栄養価も含めてご紹介いたします。
代表的な卵料理のご紹介
*このページ内の料理写真は、すべて伊藤華づ枝が作成・撮影したものです
牛肉とトマトの卵炒め
うずら卵のスコッチエッグ
アスパラとホタテの卵白あん
鶏肉とゆで卵の八角風味
エビの卵白揚げ
エビと卵のXO醤炒め
出汁巻き卵
切り干し大根の卵焼き
くるみ入りの卵焼き
豆腐と卵の厚焼き
味付き半熟とろとろ卵
にんじんとえのきの卵とじ
卵の袋煮
ねぎ卵の鉄板焼き
ひじきと野菜の卵炒め
ゆで卵とエビのピンチョ
五目卵蒸し
新玉ねぎのカレー卵とじ
薄焼き卵ときゅうりの酢の物
茶碗蒸し
カニと卵のスープ
なめこのかき玉汁
カスタードプリン
フレンチトースト
代表的なレシピをご紹介します
だし巻き卵サンド
材料 | 4人分(4組分) | ||
---|---|---|---|
A | 卵 | 3コ | ![]() |
砂糖 | 小さじ1 | ||
塩 | 小さじ1/4 | ||
かつおだし汁 | 大さじ3 | ||
きゅうり | 2本 | ||
塩 | 小さじ1・1/3 | ||
B | 梅干し(色よいもの) | 2コ | |
花かつお | 1カップ分 | ||
サンドイッチ用食パン | 12枚 | ||
からしマヨネーズ | 適量 |
作り方
- ボウルに(A)を混ぜ合わせ、卵焼きを2本分作り、半分の長さに切ります。
- きゅうりは縦半分に切って斜め薄切りにし、塩を振ってもみ、しんなりしたら塩気を洗い流して固く絞ります。
- 梅干しは種を取ってたたきます。
- 花かつおは指先でもんで3.と和えます。
- 食パンの片面に適量のからしマヨネーズを塗ります。
- からしマヨネーズを塗ったパンの面に1.の卵焼きをおき、からしマヨネーズを塗った面を下にして食パンをのせます。
- 6.の上にからしマヨネーズを塗り、2.のきゅうりを1/4量を広げてのせます。
- その上に4.の梅かつおの1/4量を塗り、更に食パンをのせてしっかりとラップをします。しばらくおいてから半分に切り分けます。
蟹あんかけ炒飯
材料 | 4人分 | |
---|---|---|
長ねぎ | 1本 | |
干ししいたけ(水で戻す・粗みじん切り) | 4枚 | |
ロースハム | 5枚 | |
赤パプリカ | 2/3コ | |
卵 | 3コ | |
卵黄(※かけ餡の卵白の残り) | 1コ | |
塩 | 少々 | |
油 | 大さじ3~4 | |
ご飯 | 800g | |
A | 塩 | 小さじ1・1/3 |
豆板醤 | 小さじ2/3 | |
しょうゆ | 少々 | |
かけ餡 | ||
カニの身 | 2~3本 | |
B | 鶏ガラスープ | 500ml |
酒 | 大さじ2 | |
しょうゆ | 小さじ1/2 | |
塩 | 小さじ1/3 | |
こしょう | 少々 | |
片栗粉 | 大さじ2 | |
水 | 大さじ2 | |
卵白 | 1コ |
作り方
- 長ねぎは小口切り、干ししいたけは粗みじん切り、ハムと赤パプリカは小角切りにします。
- 割りほぐした卵に塩を加え、フライパンに油を熱して卵を炒り、取り出しておきます。
- 2.のフライパンに油を足して1.を炒め、ご飯を入れ、パラパラになったら2.の卵を戻し入れて炒めます。
- 3.を(A)で調味し、仕上げにしょうゆをふります。
- カニの身はほぐします。
- 鍋に(B)を煮立て、水溶き片栗粉でとろみをつけます。
- 6.に5.を入れ、煮立ったところに溶いた卵白を入れます。
- 4.を器に盛り、7.をかけます。
鶏ガラスープの取り方
鍋に鶏手羽元5本、ねぎ・しょうが適量、水をたっぷり入れて火にかけ、沸騰したら中火で15分程煮ます。
卵の栄養素~かつては完璧な食材として見舞いの品として使われました~
昔は卵といえば、お見舞いの品などとして一番に名前の挙がる食品でした。それは卵の成分が、体を構成している重要なたんぱく質のかたまりだからです。
漢字で「蛋白質」と書きますが、「蛋白」という字は、卵白を意味しています。たんぱく質を豊富に含む食品は他にもたくさんありますが、卵のたんぱく質は構成しているアミノ酸のバランスが非常に良いのです。アミノ酸の中でも体の中で合成できないので、必ず食物から摂らなければならないものを必須アミノ酸といいますが、この必須アミノ酸をすべて含み、しかも半熟卵で食すると体内へ97%も吸収することができます。その上、その他の栄養素もほぼ全て含んでいるので、ビタミンCと食物繊維を含む食品と組み合わせれば、完璧な栄養食品ということになります。
ゆで卵にまつわる裏技
ゆで卵の殻をむく際に、うまくむけなくてもどかしい思いをしたことがありますよね。うずら卵は小さくてさらにむきにくかったり、卵を切るときに黄身がくずれてしまったり...そんな煩わしさを解決する裏技をお伝えします。
- 卵の穴あけ器を使う
便利なグッズが売っています。針が飛び出るようになっていて、卵を茹でる前に穴をあけておくと殻が、とてもむきやすくなります。
卵の穴あけ器
押すと針が出る
卵の殻に穴をあける - うずら卵の茹で方の裏技
うずら卵のとがっていない方を、殻が少しへこむくらいに軽くたたきつけます。その後沸騰した湯にそっとうずら卵を入れて5分ほど茹でて水にとればつるっとむけます。
このページを見た人だけに、「秘密の裏技」特典をご紹介しました(笑)
殻がへこむ程度に軽くたたきつける
沸騰した湯に入れて茹でる
すべてきれいにむけます - ゆで卵のきれいな切り方
キッチンの蛇口にもめん糸をしばり付けて、卵に糸を巻き付けて引っ張るとスパッと切れます。
※白糸だと卵と色が同化して見えにくいので、黒糸が良いです。
糸をゆで卵に巻き付けて引っ張る
糸で切ったゆで卵の断面
次号は、「カツオ」を予定しております。