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インターネット公開文化講座

文化講座

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料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第5回:「鶏肉」について学びます。

前シリーズでは、「世界の長寿食」というテーマで、世界各地の人々は健康を維持するために何を食べてきたのかという背景を探りつつ、それらの料理を日本でも手に入る食材を使ったレシピで紹介したり、含まれる栄養素の効能についてもお伝えしてまいりました。
今シリーズでは、料理研究歴50年が経過した筆者が旬の食材を中心に取り上げ、家庭で作れる基礎レシピだけでなく、日本で食べられている世界各地のおいしい料理やデザートなどもご紹介いたします。それぞれの食材が持つ栄養素や美しい盛り付けのコツ・食材にまつわる「おもしろ話」・食事マナーなどについてもご紹介してまいります。

第5回目のテーマは、「鶏肉」

鶏肉は牛肉、豚肉、羊肉と並んで、世界で日常的に食用にされる肉のひとつです。牛肉、豚肉と異なり、宗教などの禁忌に触れる食のタブーが少なく、世界中で広く消費されています。牛肉、豚肉などに比べて脂肪が少なく、淡白なところが特徴で部位によって色や風味が異なります。日本では弥生時代に稲作農耕が開始されると同時期に家畜が導入され、ニワトリも大陸から伝来しました。飛鳥時代には天武天皇の肉食禁止令より、食べられなかった時期もありましたが、江戸時代後期にはニワトリを食べていた記録があります。第二次世界大戦後は、牛肉、豚肉が不足したこともあり、鶏肉の消費量がアメリカで増えて、アメリカ駐留軍の影響もあり、日本での需要も増えていきました。2017年には日本における鶏肉消費量が豚肉を超え、消費量1位になりました。

代表的な鶏肉を使った料理のご紹介

和・洋・中に分けてご紹介します
*このページ内の料理写真は、すべて伊藤華づ枝が作成・撮影したものです

和風料理


鶏肉のカレー焼き


鶏肉の西京みそ焼き


鶏肉の磯辺揚げ


チキンの和風ソースステーキ

洋風料理


ハーブチキンとアボカドのグリーンサラダ


チキンのテリーヌ


チキンの赤ワイン煮込み


チキンのクリームシチュー


チキンとたっぷり野菜のピラフ


ゆで卵と鶏肉のライスグラタン


ホームメイドのチキンナゲット


クリームチキンコロッケ

中国料理


鶏肉の衣焼き・広東ソース


鶏肉とナッツの炒め物

代表的なレシピをご紹介します

クリスマスに使える鶏肉料理1点とオードブル2点です

ローストチキンにピラフ詰め

ローストチキンにピラフ詰め

材料 4~5人分
1/2カップ(100ml分)
バター 20g
玉ねぎ(粗みじん切り) 20g
赤パプリカ(粗みじん切り) 20g
ズッキーニ(粗みじん切り) 30g
にんにく(みじん切り) 1/2片分
A チキンスープ 150ml
ローリエ 1枚
タイム(あれば) 1枝
小さじ1/3~2/3
白こしょう 少々
若鶏 1羽(1.2~1.5kg)
大さじ1弱
こしょう 少々
ローズマリー(あれば) 適宜
B チリパウダー 小さじ2
コリアンダーパウダー 小さじ2/3
クミンパウダー 小さじ2/3
C じゃがいも 2コ(皮付きのまま1コを6等分のくし形に切る)
にんじん 1本(大きめの乱切り)
紫玉ねぎ 2コ(皮付きのまま1コを1/2に切る)

作り方

  1. 米は洗ってザルに上げておきます。
  2. フライパンにバターを溶かし、玉ねぎ、赤パプリカ、ズッキーニ、にんにくを炒めます。
  3. 良い香りがしてきたら、1.を入れてサッと炒め、(A)を入れてフタをして弱火で6~8分、水分がなくなるまで煮て冷ましておきます。(米に芯が出来ても良い)
  4. 鶏は内臓などを取り除いて下ごしらえのしてあるものを購入し、腹の中の水気をふき、腹の中と全体に塩とこしょう、ローズマリーをすり込みます。
  5. 4.の鶏の腹に3.のピラフを詰め、爪楊枝で閉じます。
  6. 鶏の手羽先を外側の背の方に折り曲げます。足を胴の両側に折り曲げて竹串で止め、たこ糸で両足をしばって形を整えます。
  7. (B)のスパイスの半量を6.にまぶしつけます。
  8. 天板にオーブンペーパーを敷いて7.をのせ、鶏の表面に油(分量外)を塗って210度のオーブンで45分焼きます。鶏の周りに(C)の野菜を置き、共に焼きます。
  9. 更に15~20分焼く途中で、鶏から出た脂を鶏肉や野菜にかけ、(B)の残りのスパイスを再度まぶします。

クスクスとタコのサラダ

クスクスとタコのサラダ

材料 4人分
熱湯 1カップ(200ml~)
A 適量
オリーブ油 適量
クスクス 1カップ(150g)
ミニトマト 6コ(70g)
赤パプリカ 1/8コ(30g)
黄パプリカ 1/8コ(30g)
紫玉ねぎ 1/8コ(40g)
ミント 4枝
茹でタコ 70g
B オリーブ油 大さじ3
小さじ1/2
白こしょう 少々
レモン汁 1/2コ分
純米酢 大さじ1

作り方

  1. ボウルに熱湯を入れ、(A)を加えてからクスクスを入れてラップをして10分間蒸らします。
  2. ミニトマトは4等分します。パプリカは5mm角に切ります。紫玉ねぎは薄くスライスし、もむようにし水に晒します。ミントはちぎります。
  3. 茹でタコは小さめのそぎ切りにします。
  4. ボウルに(B)を混ぜ合わせ、2.と3.を入れます。
  5. 4.に冷めたクスクスを入れて和えます。
  6. 5.を器に盛ってミントを添えます。

オリーブ入りのチーズクッキー

オリーブ入りのチーズクッキー

材料 30コ分
グリーンオリーブ(種なし) 30粒
バター 80g
薄力粉 100g
パルメザンチーズ(粉末) 70g
小さじ1/3
チリペッパー(あれば) 小さじ1/6
A 卵黄 1コ
大さじ1

作り方

  1. グリーンオリーブは水気をペーパータオルで拭き取ります。
  2. 大きなボウルに細かく切ったバター、薄力粉、パルメザンチーズ、塩、チリペッパーを入れ、両手でこすり合わせるようにして、バターがパラパラになるように混ぜます。
  3. バターがパラパラになったら捏ねて、ひと塊にします。
  4. 3.を30等分(1コ8g位)にして、1.のオリーブを包みます。
  5. ワックスペーパーを敷いた天板に4.を置き、(A)を溶いて塗り、180度のオーブンで20分ほど焼きます。

正月におすすめの料理です

鶏肉とゴボウの昆布巻き

鶏肉とゴボウの昆布巻き※写真には手まり麩を添えました

材料 12コ分
日高昆布 2袋(120g)
鶏もも肉 大1枚
かんぴょう(長いまま使用・30㎝を12本) 35g
ゴボウ 1/2本
A 砂糖 大さじ5
しょうゆ 大さじ5~6

作り方

  1. 昆布は水で洗って汚れと余分な塩分を取り除き、水から取り出して5分間ほど置いて戻します。
    ※戻しすぎないように注意する
  2. 鶏肉は12切れに切ります。
  3. かんぴょうは戻さないでそのまま使います。
  4. ゴボウは4等分に切り、昆布の幅に合わせます。太いものは縦4等分、細いところは半分に切ります。
  5. 1.を12切れにし、2.、4.をのせてふた巻きし、3.を2重巻きにしてかんぴょうで結びます。
    ※昆布が水分を吸って大きくなるため、少し余裕をもって縛ります
  6. 底の平たい鍋に5.を入れ、たっぷりの水を入れて、昆布が柔らかくなるまでフタをして1時間半ほど煮ます。
  7. 6.に(A)を入れ、15分間煮て火をとめ、味を含ませます。
  8. 冷めたら再度火にかけ、味をなじませて仕上げます。

<ポイント>

  • 昆布は「よろこぶ」、巻きは「実を結ぶ」を意味し、おめでたい食材として祝いの折りには欠かせない食材です。
  • 素材を生かした手作りならではのやさしい味わいで、飽きのこないおいしさです。
  • 昆布はミネラルや食物繊維が豊富です。ヨウ素には成長促進や新陳代謝を活発にする働きがあり、美肌や美髪に役立ちます。

鶏肉の部位と副産物について

  • ムネ...鶏肉の部位の中で脂肪が少なめでタンパク質が多く、肉質はやわらかいのが特徴で味があっさりしています。
  • モモ...筋肉質でややかたいですが、旨味とコクのある味わいです。
  • ササミ...牛や豚でいうヒレの部分で、笹の葉の形に似ているので、ささ身と呼ばれます。鶏肉の部位の中でタンパク質が最も多い部位。やわらかくて脂肪が少なく、淡白な味です。
  • 手羽...鶏の翼の部分で、手羽先・手羽中・手羽元に分かれます。脂肪やゼラチン質を多く含む部分で、肉と皮のバランスを楽しめます。
  • ぼんじり...尾の骨の周りにある部位。脂がのっていて、かむと口の中にうま味が広がります。1羽から少量しかとれません。
  • なんこつ...ヤゲン軟骨は、胸骨の先端部分のやわらかい骨で、ムネ肉の中に埋もれています。ヤゲンの由来は、漢方で薬種を細かく砕くのに使う「薬(や)研(げん) 」という道具と言われています。コリコリとした食感が魅力です。コラーゲンが多く、肌や関節の健康を保ちます。
  • レバー...肝臓の部分で、ビタミンAや鉄分を多く含みます。牛乳に浸すなどして血抜きをし、くさみを取ってから調理します。
  • その他の副産物としては、ハツ・すなぎも・モミジ・キンカン・トサカなどもあります。

鶏肉の栄養素

鶏肉は良質のたんぱく質が豊富で、必須アミノ酸がバランスよく含まれています。その他、ビタミンAやビタミンB、ビタミンKなどのビタミン類が豊富で、コラーゲンなども含まれています。また皮を除けば低脂質で、カロリーも低く、ダイエットにもおすすめの食品です。アメリカとカナダでは「チキンスープを飲むと風邪が治る」との言い伝えがあり、その研究結果も発表されています。

  1. 鶏肉に含まれるたんぱく質は、肉の繊維が細くやわらかいのが特徴です。そのため、たんぱく質の消化吸収率が高く、昔から効き目の早い滋養食として愛用されてきました。とくに病人、老人、胃腸の弱い人にぴったりのたんぱく源で、虚弱体質、病後の体力気力の低下、疲労倦怠感などに効果を発揮します。
  2. 鶏ムネ肉には疲労回復を促す成分が豊富に含まれています。正式にはイミダゾールジペプチドといって、ヒトや動物の筋肉に存在します。イミダゾールジペプチドには抗酸化作用があり、細胞の機能低下を防ぐことで疲労回復を促進します。この成分は、長時間翼を動かし続ける渡り鳥の筋肉に多く含まれているといわれています。筋力トレーニングをする人はよく鶏ムネ肉を食べますが、疲労回復の面からも理にかなった食事といえるでしょう。
  3. 骨の回りの部分には、コラーゲンを非常に多く含んでいます。
    コラーゲンは皮膚や髪、爪の形成に不可欠な材料です。それに加えて髪や皮膚、粘膜の健康を保つレチノール、ビタミンB2、ナイアシンといった、いわゆる美容ビタミンも豊富なことから、肌の老化や荒れ、髪のぱさつきを防ぐなど、美容にも優れた食品です。
  4. 必須アミノ酸の1種であるメチオニンが多く含まれています。メチオニンには肝臓の機能を活性化する働きがあり、脂肪肝をはじめとした肝疾患の予防や症状改善に効果的です。

クリスマスや年末年始はご紹介した手作り料理でホームパーティーを開きませんか

(1) メニューについて

  • どんなパーティーなのかをはっきりと
    クリスマスなのか・忘年会なのか・新年会なのかなど、パーティーの目的、メンバー、人数、季節、時間帯によって、料理の内容を考えましょう。
  • 主菜、副菜(前菜含む)、デザートの3つの献立を基本にします
    和・洋・中いずれの料理でも言えることですが、この基本にそって考えると献立が作りやすくなります。
    主菜を決めたら、副菜の品数で全体のボリュームを考えましょう。
  • 飲み物やパンなどを用意する
    ワイン、ビール、ソフトドリンクなど、料理との相性やお客さまの好みを考え、2~3種類は用意しましょう。
    温かいものと冷たいものも用意します。
    パンや小さなおにぎり・場持ちの良いチーズ、ドライナッツやフルーツを用意しましょう。

※お寿司やケーキなどを出来合いのものにしたり、料理の持ち寄りを提案するのも、気軽にパーティーを楽しむひとつの方法です。

(2) まずは1杯のおもてなし

私はお客様が到着したら、「まずは1杯の飲み物でおもてなし」を心がけています。冬は温かい紅茶やほうじ茶・中国茶などを用意しておくと喜ばれます。アルコールやノンアルコールなど、お客様が選択できるように何種類か用意しておくとよいでしょう。

(3) 食器・カトラリーなどの揃え方

人数分の取り皿を用意できれば良いのですが現実は厳しいものです。食器はお揃いのものでなくてもOKです。私はむしろ違うお皿や箸置きなどを使います。お客様にもいろいろな食器を紹介することができ、また「今度はあのお皿で食事をしてみたいわ」...などという気持ちを持っていただけたら嬉しいものです。


バターケースにナッツを入れたりしています


イチゴのシュークリームにクリスマスの飾りを添えました


イチゴ大福

次号は、「この季節に食べたい鍋物」を予定しております。

料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」
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