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インターネット公開文化講座

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料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第12回:「トウモロコシ」について学びます。

前シリーズでは、「世界の長寿食」というテーマで、世界各地の人々は健康を維持するために何を食べてきたのかという背景を探りつつ、それらの料理を日本でも手に入る食材を使ったレシピで紹介したり、含まれる栄養素の効能についてもお伝えしてまいりました。
今シリーズでは、料理研究歴50年が経過した筆者が旬の食材を中心に取り上げ、家庭で作れる基礎レシピだけでなく、日本で食べられている世界各地のおいしい料理やデザートなどもご紹介しております。それぞれの食材が持つ栄養素や美しい盛り付けのコツ・食材にまつわる「おもしろ話」・食事マナーなどについてもご紹介しております。

第12回目のテーマは、「トウモロコシ」

★トウモロコシの用途は多種多様
トウモロコシは、小麦、米とならぶ世界三大穀物のひとつです。トウモロコシを主食としている国は中南米やアフリカ地域に多くみられます。中でもトウモロコシの粉を加工したメキシコ料理のトルティーヤ、いわゆるタコスの皮は日本でもお馴染みですね。トウモロコシは丸ごと生のものの他にも加工品が多く、缶詰や冷凍食品、コーンスターチやコーン油、ポップコーンやスナック菓子、甘味料など様々な形で食卓に上っています。また家畜の飼料としても不可欠な上、繊維や製紙、バイオエタノールなど、その用途は多岐にわたっています。今回は最盛期を迎えているトウモロコシについて、そのおいしいレシピ・食べ方や栄養素としての価値をお伝えします。

代表的なトウモロコシ料理のご紹介

*このページ内の料理写真は、すべて伊藤華づ枝が作成・撮影したものです


肉団子のトウモロコシ蒸し


メカジキの
コーンクリームソース


フレッシュコーンの
スープパスタ


生トウモロコシご飯


蒸しトウモロコシ


トウモロコシの冷製ポタージュ


白いトウモロコシの
塩パンナコッタ


トウモロコシの
ココナッツプリン
黒蜜ソースかけ


トウモロコシのチェー
(ベトナムのかき氷デザート)

代表的なレシピをご紹介します

焼きトウモロコシご飯

焼きトウモロコシご飯
※写真には紅しょうがを添えました

材料 4人分
1・1/2カップ(300ml分)
もち米 1/2カップ(100ml分)
3カップ(600ml分)
トウモロコシ 1本
バター 10g
しょうゆ 大さじ1
A 小さじ1/3~1/2
大さじ2

作り方

  1. 米ともち米を洗って、分量の水に浸水します。(40~60分以上)
  2. トウモロコシは半分の長さに切って、実をこそげます。
  3. フライパンにバターを入れて2.の実を入れ、焦げ目がつくようにしっかりと焼き、しょうゆを回しかけて焦がします。
  4. 1.に3.をのせ、トウモロコシの芯と(A)を入れてすぐに炊きます。
  5. 炊き上がったら、器に盛り付けます。

トウモロコシと米粉の蒸しパン

トウモロコシと米粉の蒸しパン

材料 4~5コ分
A 1コ
牛乳 50ml
砂糖 60g
バター(溶かす) 10g
B 米粉 100g
ベーキングパウダー 小さじ1
米粉 大さじ1
トウモロコシ 1/2カップ(70g)
紙カップ 4~5コ

作り方

  1. ボウルに(A)を入れ、泡立て器で溶きほぐしてから、ふるった(B)を入れて混ぜ合わせます。
  2. トウモロコシは包丁で実をそぎ、ほぐしておきます。
  3. 1.に米粉をまぶしたトウモロコシを混ぜ合わせ、紙カップに流します。
  4. 蒸し器に3.を入れ、強火で8分間程蒸します。

トウモロコシのおいしい食べ方

代表的な食べ方は、ズバリゆでるか焼くかです。水からトウモロコシを入れ、沸騰後約5分をメドにゆでるとふっくらジューシーな仕上がりになります。焼く時はグリルの強火で、全体に火があたるように回しながら10~15分程焼きます。最後にしょうゆを塗って更に数分焼くと、まるで屋台のような香ばしさが漂います。しょうゆに砂糖やバターを加えてもOK。ご紹介したレシピのように、デザートにも人気が高まっています。旬真っ盛りのトウモロコシで、粒選りの幸福を手に入れて下さい。

夏の栄養補給に最適なトウモロコシ

糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく含み、特に糖質は消化吸収が早いため、体力を消耗しやすい暑い季節のエネルギー補給、疲労回復にピッタリです。コレステロール値を下げ、動脈硬化予防に効果的なリノール酸やビタミンEもたっぷり含みます。汗をかいて水分が不足しがちになりやすい夏場は血液がドロドロになりやすく、突然重大な疾患を引き起こす危険もあります。こんな季節には、特にこまめな水分補給とトウモロコシがおすすめです。

トウモロコシの特筆するべき栄養素

  • 疲労回復効果が高いビタミンB群が豊富
    エネルギー代謝を高め、疲労回復効果が高いビタミンB1の他に脂質の酸化を抑えるビタミンB2も含んでいるので、夏場の暑さ対策に役立ちます
  • 豊富に含まれる食物繊維
    コレステロールや有害物質を排泄し、動脈硬化・糖尿病・ガンを予防します
  • リノール酸を多く含む
    コレステロール値を下げるリノール酸が多く含まれています
  • 漢方薬にもなるヒゲ根
    血圧降下・血糖値降下・利尿・止血などの、漢方薬としても利用されています

トウモロコシのおもしろ話

  • 語源
    「トウモロコシ」という言葉は、「唐」という字があてられていますが、「唐」は、中国(唐朝)を指すだけでなく、外来のものを意味する言葉としても使われていました。
    トウモロコシは、16世紀にポルトガル人によって長崎に伝来したとされています。
    一方「もろこし」というのは穀物(蜀黍)を意味します。つまり、「唐(外来)から伝わった穀物」という意味です。
  • トウモロコシの粒数は?
    怠け者の筆者にはそんな根気はないですが、トウモロコシ1本にはどれくらいの粒数があるか数えた人はえらいです。当然ながら品種によって違いがありますが、だいたい600粒ほどとされています。
    そしてそこから伸びるひげの本数も、粒の数と同じで600本ほどなのですよ。
  • トウモロコシの花言葉
    トウモロコシの花言葉は「財宝」、「豊富」です。この花言葉は、トウモロコシの実がぎっしりと詰まっている様子や粒が規則正しく並んでいる様子から連想されたものでしょう。

保存方法

高温に弱く、収穫後の変化が大きいことから、生のままの保存ではなく、茹でてから急冷して冷凍保存をお勧めします。

次号は、「桃」を予定しております

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