愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第23回:「鮎・アユ」について学びます

前シリーズでは、「世界の長寿食」というテーマで、世界各地の人々は健康を維持するために何を食べてきたのかという背景を探りつつ、それらの料理を日本でも手に入る食材を使ったレシピで紹介したり、含まれる栄養素の効能についてもお伝えしてまいりました。
今シリーズでは、料理研究歴50年が経過した筆者が旬の食材を中心に取り上げ、家庭で作れる基礎レシピだけでなく、日本で食べられている世界各地のおいしい料理やデザートなどもご紹介しております。それぞれの食材が持つ栄養素や美しい盛り付けのコツ・食材にまつわる「おもしろ話」・食事マナーなどについてもご紹介しております。

第23回目のテーマは、「鮎・アユ」

鮎が旬を迎えています。そしてその「鮎」は、魚扁に「占う」という字が当てられていて、大好きな魚でもあります。さて筆者は、昔から「占い」に凝っています。そもそも私の現在の名前は「芸名」です。ある時、「あなたの名前は男運が悪い」と占い師に言われたことから「占い」が気になり始めたのです。父親とも夫とも「縁がない」と言われたのです。確かに父親とは、私が生後100日で死に別れています。そして「夫」とも死に別れたら困る...ということで、その後、現在の芸名に変えたら画期的に運が良くなったという次第です。なぜこんな話を書いているのかというと、魚の鮎はなぜ「占う」という字があてられているのか...その名の由来も含めて(笑)、今回は「鮎」の魅力を徹底的にご紹介しようと思います。

鮎を使った料理のご紹介

*このページ内の料理写真は、すべて伊藤華づ枝が作成・撮影したものです


稚鮎のフリット


子持ち鮎の土佐炊き


日本料理の前菜・夏・稚鮎煮・写真中央

代表的なレシピをご紹介します

焼き鮎ご飯~みつ葉の香りを添えて~

焼き鮎ご飯~みつ葉の香りを添えて~
※写真は鮎を取り出す前の状態です。
※写真には笹タデを添えました。

材料 作りやすい分量
  2カップ(400ml分)
かつおだし(冷えたもの) 600ml
鮎(中) 2尾
小さじ1/3
A しょうゆ 大さじ2
小さじ1/3
大さじ3
しょうが(せん切り) 大1かけ
みつ葉(小) 1束

作り方

  1. 米は洗って分量のかつおだしの中に、約1時間浸けておきます。
  2. 鮎は分量の塩をふってしばらくおき、グリル(又は魚焼き器)でこんがりと焼きます。(約10分~12分かかります)
  3. 1.を炊く直前に(A)で調味し、その上に2.をのせて普通に炊きます。
  4. みつ葉は軸と葉を分け、軸は小口切りにします。葉は粗く切ります。
  5. 3.が炊き上がったら鮎を取り出し、キッチンバサミで頭、尾びれ、腹びれ、背びれを切ります。中骨を取り出し、身をほぐしてご飯に戻し入れ、4.のみつ葉と共に混ぜ合わせます。

※焼き鮎を購入して使用すると、簡単に作れます。

稚鮎の木の芽揚げ

稚鮎の木の芽揚げ

材料 3~4人分
稚鮎 14~16尾
適量
大さじ1
小麦粉(下衣) 適量
木の芽(粗く刻む) 15枚程度
天ぷら衣
A 1コ
冷水 150ml
小麦粉 100g
揚げ油 適量
天紙 4枚
木の芽(飾り用) 4~8枚

作り方

  1. 稚鮎は腹の部分を尾の方向に向けて軽く押して砂を出します。
  2. 水気を拭いてから塩と酒をふって10分程度おきます。
  3. 鮎の水気を軽くふき、小麦粉(下衣)をしっかりと付けます。
  4. (A)を混ぜ合わせ、刻んだ木の芽を混ぜます。
  5. 中温に熱した油に4.の衣をつけて揚げます。
  6. 器に天紙を敷いて5.を盛り付け、飾り用の木の芽を添えます。
  7. お好みで塩を添えます。

「鮎」~別名と由来は?~

鮎の別名は「香魚(こうぎょ)」「年魚(ねんぎょ)」です。「香魚」は香りのよいことから、「年魚」は鮎の一生が秋から翌年の秋までの1年間ということから付けられた名前です。鮎は、秋に河口付近で生まれ、温かい海で冬を越します。そして春に川を遡上して夏に成魚となり、翌秋には川下に下り産卵して一生を終えます。鮎が川から下ってくる・落ちるの古語の「あゆる」に由来して「鮎」の名が付いたと言われています。また「鮎」という漢字は、「古事記」や「日本書紀」に登場する神功皇后が戦いに勝つための占いとして釣りをしたところ、鮎がかかったことから「魚」編に「占う」という字を当てたものです。「清流の女王」「初夏の使者」などと言われる美しい魚「鮎」は、旬の味わいが存分に楽しめる食材です。
旅好きの筆者は、全国各地に出かけておいしい「鮎料理」を食べたので、その一部を画像紹介します。


高知県のスーパーで売られていた天然鮎


水質日本一の高知県・仁淀川(によどがわ)の天然鮎の塩焼き


高知県四万十川の天然鮎の塩焼き


岐阜県中津川「さるとび荘」の鮎の造り


躍動感のある鮎の塩焼き
「さるとび荘」にて

 

鮎にまつわるよもやま話

  • 鮎は急流をものともせず、力強く川を遡上していく魚です。その姿は「困難を乗り越えて立身出世する」ことを連想させるため、古くから縁起の良い魚として扇子の絵柄や和柄などに好んで描かれるようになっています。
  • 中国では「鮎」と書くとナマズを指します。現地でこれを聞いた折には、地震が来たような衝撃でした(笑)
  • 鮎の塩焼きを食べると、ほのかに爽やかな香りがします。これは鮎が川底の藻類を主食としているためです。きれいな水と豊かな苔(藻)がある環境でしか育たないため、この香りは清流のバロメーターともされています。
  • 鮎は良質の苔が生える石に縄張りを持つ強い習性があるため、他の鮎が近寄って来ると追い払う習性があります。「友釣り」とは、自分の縄張りに入ってきた他の鮎に体当たりする性質(野鮎の習性)を利用して釣る漁法です。
  • 鮎を食べる際には「タデ酢」と呼ばれる笹タデをすり鉢で摺った合わせ酢を使います。笹タデとはヤナギタデの若葉のことで、形が笹の葉に似ていることから、このように呼ばれるものです。そのタデは噛むとヒリヒリするような強い辛みと特有の香りがあり、これが鮎特有の川魚の生臭さを消すのに大きな効果を発揮します。タデのピリッとした辛味と爽やかな香り、そして酢の酸味が一体となり、淡白で上品な鮎の旨味を引き立ててくれます。「タデ食う虫も好き好き」と言われるゆえんです。
  • 日本一美味しい鮎の産地として名高いのは、岐阜県の「和良鮎(和良川)」や「高原川」、愛知県の「振草川」とされています。

鮎に含まれる栄養素と期待される健康効果

  • 鮎に含まれる良質のたんぱく質は、アミノ酸スコアが100です。
  • カルシウムやビタミンDは特に内臓や骨に多く、ワタごと・骨ごと食べると効率的に摂取できます。
  • ほろ苦い内臓には、ビタミンDが豊富でカルシウムの吸収をさらに促進します。
  • 天然物の鮎にはビタミンAが豊富に含まれ(養殖物の約4倍)、目や皮膚の粘膜を守り免疫細胞を活性化させます。
  • 特に内臓にはビタミンAが多く含まれるだけでなく、鉄分・亜鉛・マンガンなどのミネラルを含んでいます。
  • ビタミンB1も多く含まれるので、汗をかいて疲れやすくなるこの季節には、疲労回復効果が大きく期待できそうです。

次号は露地物が出回って更においしくなる「きゅうり」を予定しております

料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」
このページの一番上へ